先日、サッカー中に臀部を強打した中学生が初診しました。
診察すると右臀筋がかなり腫脹しており、いわゆる筋挫傷の状態でした。


大腿部や下腿部であればRICEに準じて圧迫包帯とクーリングを行いますが、臀部なので圧迫包帯を施行するわけにはいきません。


う~ん、どうしようかな?? と思っていると、ふと腰部固定帯を少し末梢方向にずらして装着すれば、ちょうど臀筋の筋挫傷部を圧迫できることに気付きました。


そこでイレギュラーですが、臀筋の筋挫傷部に腰部固定帯を装着したところ、かなり痛みが軽減したとのことで喜んで帰っていきました。


よく考えると仙腸関節症では骨盤ベルトを使用すると疼痛が軽減します。部位的には骨盤ベルトを利用すればよかったのですが、あいにく在庫がなかったので腰部固定帯で代用しました。


臀筋の挫傷は比較的よく診察する外傷ですが、いわゆる骨盤ベルトを外来に常備している整形外科関連の施設はさほど多くないと思います。


臀筋筋挫傷で圧迫する必要がある場合、骨盤ベルトを常備していなくても、病名を付ける必要がありますが、腰部固定帯の利用は一考に値すると思います。


このように腰痛だけではなく、筋挫傷に対する治療においても腰部固定帯は重宝します。「腰痛=腰部固定帯」という既成概念を壊してみるのもおもしろいかもしれません。




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