3月から、ランニング時の右膝外側部痛が主訴の40歳台前半の男性を経過観察しています。
初診時の身体所見から腸脛靭帯炎と判断して経過観察していました。


しかし、しばらく安静にしても症状が軽快しないため、患者さんの希望にしたがって右膝関節のMRIを施行することにしました。



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上記の画像は、この患者さんのMRIです。コントラストがはっきりし過ぎて分かりにくいですが、外側の腸脛靭帯の大腿骨外顆部直下にSTIRで高信号領域を認めます。


矢状断でみると膝関節内に関節液の貯留はほとんどないので、腸脛靭帯の大腿骨外顆部直下の高信号領域は腸脛靭帯炎の所見と矛盾しません。


今まで、腸脛靭帯炎に対してMRIを施行したことは無かったのですが、STIRのように炎症に対して感度の良い撮像法では僅かな炎症であっても鋭敏に検出できるようです。


もちろん、医療費の問題から腸脛靭帯炎の全例にMRIを施行するなどもってのほかですが、診断に困ることが万が一にもあるようであれば、MRI(特にSTIR)は有用かもしれません。






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