先日、立位で骨盤が後傾する症例に対する人工股関節全置換術(THA)がありました。
このような症例ではインプラントの選択や設置角度に細心の注意を払う必要があります。



立位

立位正面



臥位

臥位正面



今回の症例は寛骨臼の前後径が46mm程度しかありませんでした。このため、できるだけ大きなインナーボールを使うために、StrykerのTrident HA shellを選択せざるを得ませんでした。


寛骨臼へのカップ設置角度は前方開角をやや抑え気味にします。このため、後方不安定性を併発する可能性があります。これに対処するために、ステムはZIMMERのkinectivを選択しました。


Trident HA shell+kinectivというメーカーをまたいだ機種選択が可能な理由は、CeramTec社が供給するセラミックヘッドのBIOLOX deltaが、StrykerおよびZIMMERとも使用可能なためです。






つまり、 BIOLOX deltaを介することで、異なるメーカーの機種が使用可能となるのです。このことは機種選択の自由度が上がるため、患者さんの利益になります。



異常な骨盤後傾などの難症例では、 BIOLOX deltaを介した異なるメーカー間の機種選択も解決策のひとつとして考えても良いかもしれませんね。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。