先日の外来で、翼状肩甲骨(Winging scapula)を初めて診ました。
弾発肩甲骨は診たことあるのですが、翼状肩甲骨は経験ありませんでした。


今回は、右側だけ肩甲骨が膨らんでいるという主訴でした。診察すると、確かに右側肩甲骨内側縁だけが浮き上がっていました。これは翼状肩甲骨のようです。


翼状肩甲骨は、前鋸筋が麻痺することが原因です。症状としては、肩甲骨の内側縁が浮き上がって翼状肩甲骨となり、腕を前方へ挙上できなくなってしまいます。


前鋸筋の単独麻痺は、テニスのサーブやゴルフのクラブスイングそして産褥期の腕を挙上した側臥位での新生児との添い寝などによって長胸神経が伸張されて発生します。


 一方、腕を下方に牽引して肩甲骨を胸郭に押し付けると、第2肋骨で長胸神経が圧迫されることも証明されています。このことから重いリュックを背負った後にも生じるようです。


尚、進行性筋ジストロフィーなどでも同様な症状が見られますが、両側性のことが多いようです。この場合には神経内科へ紹介した方がよさそうです。


スポーツや特異な肢位による前鋸筋の麻痺と判断されたら、原因となっている動作や肢位を避けさせると、平均9ヵ月で回復します。手術が必要なケースは稀なようです。




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