先日から40歳台後半の初期の変形性股関節症の方を診察しています。
単純X線像でCE角は5度程度で、関節裂隙が少しだけ狭小化している印象です。


年齢的・社会的に寛骨臼回転骨切術(RAO)の適応にはならなさそうですが、THAを施行するほど患者さんが困っているわけではありません。


さしあたってはトラムセットを投与して経過観察していますが、どうも症状はすっきりしないようです。外来で「このまま痛み止めを飲み続ける対症療法しかないのでしょうか?」と訊かれました。


実は、この方は体重が70㎏ほどあります。う~ん、どうしよう・・・。意を決してお伝えしました。「体重を減らしましょう。減量です。それによって、股関節にかかる負担が大幅に緩和されます」


以前から、このことは何度かお伝えしていましたが、強い口調で言ったのは初めてです。主治医的にも、このままだらだらと薬物治療を行うのは良心が咎めます。


薬物治療と比較すれば、減量の方がより根本的治療に近い(?)ことをお伝えすると、少しやる気になったようです。やはり、タイミングは大事だと改めて思いました。


初診の段階から何度かお伝えしていましたが、他にうまい治療法があると思い込んでいたフシがあります。現実には減量以外に効果的な治療法が無いことを認識した瞬間を狙ったのです。


ちょっとしたショック療法ですが、果たして効果はあるのか? 少し興味のあるところです。これで本格的に減量に取り組んでくれたら嬉しいなぁ。
 

 




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