大腿骨近位部骨折後に、同側の膝関節水腫を併発する症例をよく見かけます。
特に術後のリハビリテーションを開始してしばらくして併発することが多いです。


患者さんが患側を痛がってリハビリテーションが停滞するケースでは、意外なほど膝関節に水腫があることが多いのです。しかし、骨折部や創部の痛みだと思いこんでいると気付きにくいです。


では、なぜ大腿骨近位部骨折後に同側の膝関節水腫を併発するのでしょうか? 軽く調べた限りでは、これに関する文献を見つけることができませんでした。


そこで自分なりに推測してみました。まず、受傷時から膝関節水腫を発症している可能性です。しばらく注意しましたが、受傷時から膝関節水腫を併発している方はほとんど居ませんでした。


やはり、術後に膝関節水腫を併発することほとんどの印象です。ということは、術後の股関節部~大腿近位部の腫脹が、膝関節水腫の併発に関与している可能性があります。



大腿骨近位部骨折の手術によって局所の腫脹が発生
患側の静脈還流が低下する
患側の膝関節水腫を併発
 


上記のようなストーリーを考えてみました。これに加えて、受傷時からしばらく床上安静を強いられた後に、術後リハビリテーションでいきなり膝関節に負担がかかることも原因かもしれません。


いずれにせよ、術後に患側下肢を極度に痛がる場合には、骨折部だけではなく膝関節にも注意を払う必要があると思います。それが原因なら、対処は非常に簡単ですから・・・






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