2016.9.8の日本経済新聞の電子版で興味深い記事がありました。
フィンテックへ投資急増 世界で2.4兆円 日本も追随 技術革新が後押し です。


フィンテック(FinTech)とはFinancial と technology を合わせた造語で、金融と情報技術を組み合わて新しい金融サービスを生み出したり見直したりする動きのことです。


フィンテック事業を手掛ける企業への投資が急増しており、2016年は世界で240億ドル(2兆4000億円強)と過去最高を更新する見通しです。


米国では、2014年ごろからフィンテック関連投資が激増しています。今回の記事では、米国から遅れること2年、ようやく日本でもフィンテック関連投資が増加してきたかのように見えます。


ただし、今回の報道内容を見る限り、日本におけるフィンテック関連投資の多くは、単なる証券投資の域を出ていません。今回の記事の内容を要約すると下記のごとくです。


  1. 三井住友アセット: 投資信託のグローバルAIファンドが700億円を集めた
  2. 楽天: フィンテック関連企業に投資する100億円規模のRakuten FinTech Fundを設立
  3. みずほ証券: アジアのフィンテック企業を発掘するシンガポールのファンドに20億円投資
  4. SBIホールディングス: ベンチャーキャピタルのFinTechファンドが300億円を集めた
  5. 三菱東京UFJ銀行: 仮想通貨取引所を運営する米コインベースに出資



①③④は投信やベンチャーキャピタルであり、売却益を志向した投資です。単に海外のフィンテック関連ベンチャー企業へ資金を供給しているに過ぎません。


②も基本的にはベンチャーキャピタルですが、本当に美味しい企業は楽天本体の金融事業に取り込もうとしているので、部分的には本物のフィンテック投資と言えるかもしれません。


今回の記事の中では、⑤の三菱東京UFJ銀行のみが本物のフィンテック投資です。本来なら全てのメガバンクや大手証券が、大規模に直接投資するべきなのですが・・・


今回の日本経済新聞の記事を拝読して、私は下記の2点で非常に残念な思いに駆られました。
  •  フィンテックブームに煽られた個人投資家の犠牲者が大量に発生する
  •  本物のフィンテック投資は遅々として進んでおらず世界から周回遅れになっている


まず、投資家目線です。グローバルAIファンドの目録を確認した限りでは、既に相当割高なAI関連の有名銘柄が恥ずかしげもなくファンドに高い比率で組み込まれています。


さすがにGoogle、Amazon、Facebook、Appleなどの誰が見ても分かるAIジャイアントは外されていますが、目録に掲載されている銘柄は十分に「メジャー」です。


ちょっと個人投資家をバカにし過ぎなのでは?今からこの投信を購入する人が、死屍累々の元・1兆円ファンドであるノムラ日本株戦略ファンドの二の舞にならないことを祈るばかりです。


だいたい、証券会社や銀行が大々的なキャンペーンで売り出しているテーマに乗って儲かることはまずないと思うべきです。そのテーマがバラ色に見えれば見えるほど危険だと思います。


キャンペーン中のテーマに乗らないだけでも、損する確率をかなり減らすことが可能です。これは、金融資産だけに関わらず不動産にも該当します。一種の処世術として覚えておきましょう。


2点目は、いち日本人としての目線です。フィンテック分野は人工知能(AI)ほど本命分野ではないものの、手っ取り早く収益化可能なドル箱の領域です。


本来なら、既存の大手金融機関がフィンテック技術を取り込むために直接投資するべきなのですが、既得権益や社内の既存勢力への配慮から遅々として投資が進んでいません。


このままでは、社内資源を優先したためにグローバル競争に敗退して、完全に脇役に成り下がってしまったNTTドコモ・ソニー・パナソニックの二の舞になってしまいそうで怖いです。


既に日本の金融機関はグローバルでの存在感が無いですが、牙城である日本市場の美味しい部分まで新興フィンテック企業に乗っ取られる危険性が高まっています。 がんばれ、日本!!


ポイント

どんなに有望にみえても、証券会社や銀行が大々的に売り出しているテーマには乗らないこと!






★★  医師のための金融資産形成術  ★★


資産家および医師を対象として、2015年10月に開催した本ブログ管理人による 「金融資産形成術セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。



NY夜景

      



勤務医・開業医の種類に関わらず、医師が資産形成する際には下記の3つを組み合わせることで効率良く資産形成することができます。


1. 医師免許をベースにした人的資産からのキャッシュフロー
2. 不動産からのキャッシュフロー
3. 金融資産投資の技術


①②で得られる安定したキャッシュフローを元手にして、③の金融資産投資技術を用いて資産形成するのです。しかし、多忙な医師が金融資産投資で結果を出すのは難しいのが現実です。


一方、金融資産投資は買値で投資収益性が決まります。 ”多忙な医師がいかにして金融資産を安く買うか?” という命題を解決するため、私は超長期逆張り投資戦略を選択しています。 


今回の「金融資産投資術セミナー」は、資産形成マニュアルで提示した資産形成手法における金融資産投資の各論です。築古木造戸建投資は「守」、金融資産投資は「攻」という位置づけです。


築古木造戸建投資の「守」 と 金融資産投資の「攻」の組み合わせが、安定的な所得のある医師の資産形成における有力な選択肢のひとつと考えています。