先日、脊椎外科医とHip-spine syndromeについて意見を交わす機会がありました。
Hip-spine syndromeは、10年ほど前にかなり話題になりました。


最近は下火になっている印象ですが、高齢者のTHAの手術計画を行う上で、無視することのできない概念です。昔は脊椎アライメントに合わせて股関節の治療を計画するという流れでした。


しかし、XLIFなどの脊椎アライメントを劇的に改善することのできる治療手段の登場で、Hip-spine syndromeにおける股関節外科医側からの治療アプローチも修正を迫られています。


著明な腰椎後弯変形症例であっても、L4/5, L5/S1を中心に固定することで腰椎後弯変形を矯正することも可能です。「C」字状に腰椎後弯変形を矯正するのです。


このため、Hip-spine syndromeでは腰椎後弯変形を治療してから股関節の治療を行うという選択肢が可能となりました。


現時点ではXLIFを駆使して腰椎後弯変形の治療を施行できる施設は限られています。しかし、XLIFがスタンダードな治療となると、脊椎→股関節という流れが定着するかもしれません。


こうなると、股関節サイドからみると、治療は非常に楽になります。なぜなら人工関節設置の際に、骨盤後傾の調整を考える必要性がなくなるからです。


個人的には多椎間固定の弊害が心配になりますが、世の中の流れがXLIFに傾くようであれば、それに合わせて股関節サイドでの治療方針も変更していく必要があるかもしれないですね。





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