Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
ER患者の頻回搬送の要因を探る です。




京都第一赤十字病院高度救命救急センター副センター長の髙階謙一郎氏らは、同センターに頻回搬送された救急患者の実態を調査した。


その結果、救急医療では解決できない社会的背景に課題を抱えている患者と症状の再発により繰り返し搬送されてくる患者が混在していることが分かった。


頻回搬送の4人に1人は入院を要し、注意が必要であると第44回日本救急医学会(11月17~19日)で、同氏が報告した。




喘息発作などの再発や自己退院による再搬送も  


同センターにおける2015年度の救急患者数は2万1,329例で、そのうち7,532例は救急搬送であった。3回以上(年度内)を「頻回救急搬送」とした場合、患者数が多かった搬送回数は多い順に3回(106例)、4回(37例)、5回(11例)、6回(10例)であり、20回以上は2例存在した。  


年齢層別に見ると、若年層では女児・女性が多く、中年層では男性が、高齢層では女性が多かった。男性患者の平均年齢は67.8歳と、女性の63.8歳に比べて高かったが、患者の比率は男女でほぼ同じであった。  


主な原因疾患は、消化器、転倒などによる外傷、呼吸器であり、分類不能も13%に見られ、詳細に検査しても原因が特定されなかった(図)。




図. 頻回救急搬送患者の疾患の内訳 (髙階謙一郎氏提供)  


頻回搬送患者の77%は救急外来で完結していたものの、23%は入院(同センター入院9%、一般入院13%、転院1%)となった。髙階氏は「頻回搬送患者の4人に1人が入院となっているため、注意が必要である」と述べた。  


考えられる頻回搬送の要因は、肝硬変、肝性脳症、喘息発作などの再発、治療中の自己退院の他、救急車の不適切な利用、精神的不安感や生活および療養環境に問題があることが挙げられた。




患者が加入・利用する保険種別は生保が4割  


頻回搬送患者が加入・利用する保険種別を見ると、生活保護制度が42%と非常に多く、次いで高齢者医療制度(34%)であり「救急医療だけでは解決できない社会的背景に課題がある患者が多い」と髙階氏は指摘した。  


そのためなんらかの対策を講じる必要があるが、福祉行政が頻回患者の生活に介入すると拒まれることが多い。しかし、医療には患者の方からアクセスすることから、同氏は「福祉や介護行政単独ではなく、地域包括ケアシステムを構築し医療と連携することで、頻回搬送患者の問題解決につながるのではないか」と提案した。 






私も、
高度救命救急センターを附設している三次救急病院での勤務歴が長かったので肌感覚として分かるのですが、頻回救急搬送患者さんは、非常にメジャーな存在だと思います。



そして、
本当に医療処置が必要な頻回救急搬送患者もいるものの、救急車をタクシー代わりに利用する輩が多かったことを覚えています。 



今回の報告では、頻回救急搬送患者の42%が生活保護だったという由々しき結果でした。全例が不適切利用とは思わないですが、制度自体に大きな問題を抱えていることが示唆されます。


モラルだけに頼っていては、状態の悪化に歯止めはかからないのではないでしょうか。タクシー利用を回避するためには、私は救急車有料化もやむを得ないと考えています。


料金は少なくともタクシー料金以上が適切だと思います。有料にすることで救急車の使用を控える人が出現する懸念もされていますが、そもそも医療費が無料という考え方がおかしいです。


憲法の精神に反するという意見もあると思いますが、少数の輩の既得権を守るために、制度の根幹が揺らぐことの方が問題だと思います。この事実が全国民に周知されて欲しいですね。





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