リクラストってご存知でしょうか?スイスのノバルティスが創薬したビスホスホネート製剤で、年1回点滴静脈内投与の骨粗鬆症治療薬です。


日本では旭化成ファーマが発売しています。最初、旭化成のMRの方に説明を受けた際には、コレは画期的な薬だ! という印象でした。


実際、ネットでリクラストを検索してみると、年1回投与の骨粗鬆症治療薬としての好意的な意見が多いようです。ただ、実臨床に携わる臨床医の間では、イマイチな印象の意見が目立ちます。


その理由は、長い骨中半減期の問題です。なんと、骨中半減期が300~500日とのことです。これだけ長期間にわたって骨代謝を抑制することに対して、医師は一種の恐怖を感じるのです。


もし、リクラストを投与した後に骨折したり、何らかの有害事象を併発しても、リカバーする手段が皆無です。特に、リクラスト投与後の大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折は深刻な問題です。


残念ながら、実臨床の視点でリクラストを論じている人は皆無です。その理由は、これらの記事を書いている方のほとんどが、薬剤師だからだと思います。


彼らは実臨床を知らないため、添付文書に記載していることの紹介をしているに過ぎません。このため、リクラストの問題点として臨床的には重要ではないBRONJを論じています。


もっとひどいものでは、これまでは6カ月に一度の投与だったプラリア(成分名:デスノマブ)よりも長い投与間隔になるので、管理が難しいという世迷言を並べている方まで居ます・・・。


臨床医でプラリアは6カ月に1度でOKと思っている人は居ないでしょう。確かにプラリア投与は6カ月に1度ですが、ビタミンDやCa製剤は毎日服用なので、結局デイリー製剤と同じなんです・・・。


こう考えると、安全性と服薬コンプライアンス的にはマンスリー製剤がベストではないでしょうか。マンスリー製剤であれば、骨折しても1ヵ月我慢すれば骨代謝が復活します。


少しリクラストについて否定的な意見を述べましたが、私自身は処方経験がないので一次情報ではありません。実臨床での識者の先生方の意見が早く出てくることを期待しています。





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