静脈ルートの確保は、医師として習得するべき基本的手技です。
しかし、ときどき前腕に全くルート確保できなさそうな患者さんを散見します。
できれば橈骨茎状突起部でのルート確保は、橈骨神経浅枝損傷を回避するためにも避けたい・・・。このようなケースではAccuVeinという器械があることを同僚に教わりました。
Acuveinは、酸素と解離した還元ヘモグロビンを指標として、赤外線と可視光によって体表面から非接触に皮静脈を非接触に可視化します。 これはビジュアルインパクト大ですね!
緊急時、小児、非常に血管が触知しにくい患者さんのルート確保に役立ちそうです。しかし、1台の年間レンタル料は270756円もかかるようです。では、実際にどの程度有用なのでしょうか?
PubMedでAccuveinを検索すると、9本の論文がヒットしました。最も新しい下記の論文のAbstractを読むと、結果はイマイチだったようです。
Peripheral intravenous cannulation with support of infrared laser vein viewing system in a pre-operation setting in pediatric patients.
Rothbart A, Yu P, Müller-Lobeck L, Spies CD, Wernecke KD, Nachtigall I. BMC Res Notes. 2015 Sep 21;8:463. doi: 10.1186/s13104-015-1431-2.
CONCLUSIONS:
In our study we were not able to reduce neither time nor number of attempts until a successful venous cannulation in children using the vein viewer. Given certain limitations of our study as the lack of randomization and no control for inter-operator variability, the conclusions drawn from it are also limited, but by our results laser-supported cannulation cannot be recommended for standard procedures.
最後にはっきりと、スタンダードとしてはお勧めできないと書いてあります。まぁ、考えてみれば結構はっきり見えている血管であっても、血管壁が脆い方のルート確保は容易ではありません。
つまり、いくら血管がはっきりみえても、ルート確保を成功に導く要素はそれだけではないのです。もう少し安価であれば、導入する価値があるのかもしれませんが・・・。