最近、私の勤務する病院では、人工関節で使用する骨セメントの種類が変更になりました。このことは、セメントをよく使用する者にとって由々しき事態です。


何故なら、骨セメントは製品によって使用感が大きく異なるからです。私は長年にわたってVacu-Mix Plus エンデュランスボーンセメントを使用していました。


しかし、2月からサージカルシンプレックス骨セメントに変更になりました。私にとって、初めて使用する骨セメントです。


病院としての変更なので致し方ないのですが、予想以上に骨セメントの使用感の差異が大きいため、非常に苦慮しています。例えてみると、全くの初心者に戻った感覚です。


今までは室温とミキシングの感覚から、無意識のうちに最適化していましたが、その経験則が全く通用しないのです。先日、骨脆弱性が著明な症例で、hybride THAを施行しました。


通常では骨脆弱性のために、セメントレス・カップ設置が手術のヤマ場となりますが、今回は大腿骨のセメンティングが最も緊張する場面でした。


何とか納得できる手術ができましたが、安定性を確保するには程遠い状況です。骨セメントの種類変更は、想像以上に難しいです。インプラントの種類変更と同等程度の感覚です。


私の勤める病院の場合、大人の事情での変更だったので仕方ないですが、今後骨セメントの種類を変更する予定のある方は、慎重にその是非を検討する必要があると思います。




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