先日、上腕骨骨幹部骨折の手術がありました。
長斜骨折だったので、髄内釘を使用しました。


髄内釘の遠位スクリューはラジオルーセント・ドリルを使用する機種がほとんどだと思います。しかし、肘関節近位の屈側にドリリングする際には、上腕動脈や正中神経が心配です。


上腕骨まで展開することは容易ですが、ラジオルーセント・ドリルを使用する段階で、これらの神経血管束を巻き込んでしまい損傷する危険性があるからです。



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そこで登場するのが上記のお手製のラジオルーセント・スリーブです(笑)。単に1ccや2.5ccのシリンジを直剪で切断しただけのシロモノです。先輩医師に教えていただきました。


しかし、プラスチック製であるためX線透過性です。このスリーブがあれば、ラジオルーセントドリル使用中に、神経血管束を巻き込んでしまう危険性を大幅に軽減できます。


上腕髄内釘のように、気を遣う部位でのラジオルーセントドリルの使用の際には、簡単にできるお手製ラジオルーセント・スリーブの使用をお勧めします。





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