人工股関節全置換術(THA)の寛骨臼内の操作時に、電気メスの焼却で発生する煙のために術野が見にくくなります。


これを回避するために、助手に煙の吸引をしてもらいますが、手がもったいないと以前から感じていました。これを回避するために電気メスに吸引管をくっつけてみました。



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上図のような、お手製の簡単な工夫です。ちなみに腹腔鏡の領域では、電気メスと吸引が一体化したSurgiwand™ II というディスポーザブル商品が販売されているようです。


電気メスの焼却で発生する煙には発癌物質が含まれているようで、欧米では電気メスと吸引管が一体化した商品は、一般的だそうです。


しかし、今回はお手製のため、どれぐらい操作性が良いのか分かりません。実際に手術を施行した感想は、可もなく不可もなくといったところでした。


まず、最も期待した寛骨臼内の煙の除去に関しては、そこそこ快適な視野を得ることができました。この点に関してはなかなか良かったです。


しかし、電気メスの近くで軟部組織がある状況では、吸引管の先に軟部組織が吸引されてしまい、煙の吸引が停止してしまいます。


このため、結構気をつけて手術操作をする必要があったため、結局は従来のように助手に煙を吸引してもらうより多少マシかな? という程度でした。


日本でも電気メスと吸引管が一体化した商品は使用可能なようなので、費用の問題はありますが、興味のある方は卸さんに確認してみてもよいかもしれませんね。



 



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