エレファントカーブってご存知でしょうか? エレファントカーブとは、1988年~2008年の間に「世界で誰が豊かになったのか」を示しているグラフです。



エレファントカーブ - コピー



ベルリンの壁が崩壊してグローバリゼーションが進んだこの約20年間に、先進国の富裕層と新興国の中間層は豊かになりました。


その一方、欧米や日本などのいわゆる先進国の中間層は、この20年間で所得をほとんど増やしていません。欧米に比べても日本は特にこの傾向が顕著です。


ベルリンの壁崩壊までは、欧米や日本などの先進国と新興国の格差は歴然としていました。しかし、2008年のリーマンショック以降は、新興国との差は更に縮小しています。


例えば東アジアの中で、日本はお金持ちの国だと認識している人が多いと思いますが、私の感覚ではそんなことは全然ありません。中の上ぐらいの認識です。


特に中国の躍進は目を見張るものがあります。私の不動産経営のメンターのひとりに、某旧帝国大学の近くで留学生を対象として賃貸業を営んでいた方がいます。


周囲のワンルームマンション相場が6~7万円ぐらいだったのに、2万円ぐらいで貸し出していたので、中国人留学生から大人気の施設でした。


ところが、2010年ごろから設備面の劣勢を家賃では挽回できなくなり、ついには留学生を対象とした施設を、他の用途に転換せざるを得ない状況が出現しました。


この方は、勇気をもって業態の大転換を断行しましたが、中国の経済発展がひとつのビジネスモデルを過去のものにしてしまう状況を垣間見ました。


一方、日本人の購買能力低下は、目を覆わんばかりです。私の宿泊施設の経営方針は宿泊単価の高い上客に特化するです。残念ながら、日本人を敢えて避けるような形になっています。


現在は世界の識字率が85%もあるそうで、先進国と新興国の人の間で能力的な差が小さくなっています。先進国に生まれただけで高所得を獲得するのは過去の話になりつつあります。


もう一度、エレファントカーブに戻ると、私たちの大部分は象の鼻の根元に位置します。さすがに医師は違うでしょう? と感じる方もいるでしょう。


しかし、医師の所得は20年間で50~60%増加したでしょうか? 統計を見れば分かりますが、ほぼ横這いです。確かに所得の絶対値は高いですが、全然増加していないのです。


このままの状況が続くと、いずれ世界はフラットに近くなる可能性があります。生まれた国ではなく、個人の能力に依存した競争のジャングルです。


自分たちは、象の鼻の根元に位置することを再認識して、激しく変化する現在社会に対応する必要があると感じました。







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