先日、若年者のキーンベック病に対する橈骨短縮骨切術がありました。キーンベック病の原因は不明ですが、職業的には手を良く使う青壮年の男性に多く見られます。


今回の方も、かなり力を使う肉体労働者でした。大腿骨頭壊死とは異なり、月状骨の小さな不顕性骨折が原因とも考えられています。



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治療は、Lichtman分類に沿って行われます。Lichtman分類Ⅰでは安静やギプス、装具による固定が選択されます。Lichtman分類Ⅱ~ⅢBまでは橈骨短縮骨切術が行われることが多いです。


橈骨短縮骨切術は非常に切れ味の良い手術で、症状が劇的に軽減することが多いです。術後にMRIを施行すると、壊死したはずの月状骨に血行が再開する所見を認めることもあります。


このあたりは、特発性大腿骨頭壊死症とはずいぶん異なる病態である印象です。血管柄付骨移植術併用の是非は決着していませんが、併用しなくても結果は良好のようです。


Lichtman分類Ⅳでは月状骨切除腱球移植術を選択せざるを得ません。この場合は、単に腱を丸めるだけではなく、摘出した月状骨を腱球の核として使用すると良いそうです。


橈骨短縮骨切術の目標は、0~1mmのulna plus varianceですが、尺骨が長い症例では有頭骨部分短縮骨切術を施行します。もちろん、ほとんどの症例は橈骨短縮骨切術で対応可能です。





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