本日は書評です。
現役医師によって執筆された資産形成に関する書籍です。







私は、この書籍の存在を中外医学社の担当者である五月女(そうとめ)様よりご教示いただきました。身近に「株式投資で成功している」医師は皆無なので、興味深く拝読しました。


まず内容ですが、株式投資の初心者向けの書籍です。一般的な初心者向けの株式投資本は網羅的に記載されていますが、忙しい医師向けに記載内容を絞り込んでいます。


この書籍の最も大きな特徴は「忙しい医師に最適化した株式投資戦術」の提案をしている点です。本書の記載内容に限らず、知識を得るだけならインターネットで無料で手に入ります。


しかし、膨大な知識の大海から、忙しい医師に最適化した知識体系を抽出することは極めて難しいです。つまり、本書の価値は、記載されている知識ではなく、戦術にあるのです。



私と同じ点


K先生は、ファンダメンタルズをベースにした日本株式の逆張り中長期投資を推奨しています。一方、私の場合、投資対象が世界で期間は超長期ですが、考え方はほぼ同じです。


やはり忙しい医師が株式投資の世界で勝ち残っていくには、短期投資は極めて不利だと思います。あと、投資を開始した時期が不況期であることも共通しています。


これは極めて重要な点です。K先生も私も入り口はビギナーズラックでした。これが2002年や2008年ではなく、2005~2007年や2013年以降だと結果を出すことは難しかったでしょう。



私との相違点


細かい話ですが、投資期間の長さの違いが投資行動にかなりの差を与えています。K先生は私よりも売買回数が多いようです。また、個別企業の分析も入念にされています。


一方、私は数年に一度しか買い出動しないので、普段は個別企業のファンダメンタルズを分析することはほとんどありません。


投資対象の絞り込みはK先生の方が上です。私は、米国株式市場まで対象としており、不動産投資やスモールビジネスまで展開しているため、広く浅くの理解に留まっています。



総 評


K先生と私の能力および割ける時間が同じと仮定すれば、各々の戦術の違いが分かると思います。K先生は狭く深い、私は広く浅い戦略を採用しているため、上記の差異が生まれました。


ひとりの医師が割ける時間には限りがあるため、その大きな制約の中でいかにして結果を出すのか? のアプローチ(戦略)の違いなのです。


前提条件が同じであっても、戦略が異なればおのずと戦術も異なります。おそらくK先生も私も、自分の採用している投資戦略の中では、現状の戦術が最適化されているのでしょう。


私の場合は、大好きな株式投資と不動産投資の両方で結果を出すために、買い出動するハードルを高くして、かつ投資期間を長期化せざるを得ませんでした。


あと、最初に「能力が同じと仮定すれば」と書きましたが、周知のように投資に関しても生まれ持った能力の差異は巨大です。


この能力は学歴と緩い相関関係がありますが、医学部のような学歴の最上位層内では全く相関関係はありません。この点は臨床能力と出身大学に相関が無いことと同じだと思います。


このため、好き嫌いだけではなく、自分の能力に最適化した戦略を構築することも重要です。もちろん、自分の能力を客観的に判断することが最も難しいことではありますが・・・





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161228 【書影】医師の経済的自由