先日、下記のようなメッセージをいただきました。
地方で内科医をしている者ですが、いつも資産形成に関して先生のブログで勉強させていただいております。 お忙しい中恐縮ですが、以下の点につきまして、先生のご意見を頂戴できましたら幸いです。
1) 先生は以前の記事で、現行NISAの利用には積極的ではないというご意見だったかと思います。
その理由として、NISAの非課税期間が5年間しかなく、長期保有を前提とした場合には短すぎるという点と、損失が発生した場合に特定口座や一般口座と損益通算ができない点を挙げていらっしゃいました。
2018年1月から始まるつみたてNISAに関しては、どのような意見をお持ちでしょうか。
2) 2017年1月から専業主婦もiDeCoに加入が可能となりましたが、所得がない場合、iDeCoの一番のメリットである所得控除が受けられません。
その他のメリットとして、NISAと同じように値上がり益が非課税になる点と、将来、一時金として受け取るにせよ年金として受け取るにせよ、一定額の控除が受けられる点が挙げられますが、その両者を勘案した上で、専業主婦もiDeCoを積極的に活用すべきとお考えでしょうか。
私個人の意見としましては、
・つみたてNISAに関しては、20年間の枠があれば、その間に市場の大きな谷が1〜2度やってきても、その後の回復期間も十分に見込めるため利用価値がある
・専業主婦に関しては、iDeCoよりもつみたてNISAを優先して利用すべき
というものですが、先生のご意見を頂戴できましたら幸いです。
まず、最初にお断りしておきますが、私自身はつみたてNISAやiDeCoにはあまり興味がなく、NISAやiDeCoを一切利用していません。
確かに両制度とも一見税制の優位性はあると思います。しかし、私が実践している超長期逆張り投資では含み益を実現化することがほとんど無いため、制度的なメリットが無いからです。
2018年から始まるつみたてNISAは、毎年40万円まで拠出でき、最大20年間税金が非課税になる制度です。以下に私が思うこの制度のデメリットを挙げます。
- 投資金額が少なすぎる
- 購入対象がETFや投資信託に限られる
- 購入方法がドルコスト平均法である
まず①ですが、いわゆる本物の「資産」形成を狙うには金額が少なすぎます。元本は40万円×20年=最大800万円しかありません。元本がこの金額では正直言って相当厳しいです。
更に良くないのが②の投資対象です。つみたてNISA口座で買える投資対象は、長期の分散投資に適したものに限られて、投資方法は定期的・継続的な方法に限定されます。
それって、現在の投資理論では最も安全で素晴らしい投資対象ではないのか? そう思ったアナタは、投資の勉強をしっかりしている方です。
しかし、インデックス型ETFや投資信託は、年金やSWFなどの「くじら」向けの投資対象です。これらの最大の問題点は、時価総額の大きな銘柄の影響を受ける点です。
参考: 個別株 vs ETF どちらが有利か?
上のリンクで述べているように優良企業バイアスがかかっているため、投資本来の旨味を取り込むことができません。つまり、常にやや割高な買い物をさせられているのです。
毎月分配型投信のような最悪な毒物ではないものの、60点ぐらいの無難な投資対象に過ぎません。少なくともインデックス投資だけで富裕層に到達した人を私は見たことがありません。
最後の③ですが、これも各方面からの批判が殺到しそうなコメントです(笑)。ドルコスト平均法は、最高の投資手法に決まっているだろ! と思うアナタ、勉強熱心ですね。
確かにドルコスト平均法はまずまず投資手法ですが、やや机上の空論的なところがあります。この投資手法の最大の問題点は、単なる高値掴みの投資法になる可能性が高いことです。
理論的には相場暴落時に購入するユニット数が多くなるため非常に有利です。しかし、ほとんどの投資家は暴落時に投資をストップしてしまいます。
例えば、2001年の同時多発テロ、2008年のリーマンショックの際の自由落下のような相場環境において、果敢に買い向かった投資家がどれほどいたでしょうか?(※)
仮に北朝鮮の水爆が首都圏に投下されてもドルコスト平均法を続ける投資家がどれほど居るでしょう? このように考えると普通の人には少しハードルが高いと言わざるを得ません。
制度上は「つみたて」ですが、強制的に資金投入を停止することは可能です。このようなことから、私はつみたてNISAに対する興味がわかないのです。
もしどうしても、つみたてNISAをやりたいのであれば、①家族全員の名義で ②MSCI ACWI Indexを ③この世が終わるまで続ける ことを誓うべきでしょう。
ここまでつみたてNISAのデメリットをあげつらいましたが、私は金融庁の森長官は大好きです。考えうる限りでは、国民に対してこれ以上の施策を打てないでしょう。
こちらで述べたように、金融資産投資において上位4%に入る自信が無い方は、家族全員名義の「つみたてNISA」で、MSCI ACWI Indexをドルコスト平均法で続けることを勧めます。
しかし、金融資産投資において上位4%に入る実力のある方は、投資手法が制限される害悪>>>税制上の優位点なので、近寄らない方が無難だと思います。
ここまで書いて疲れました。明日は残りの宿題のiDeCoについて書く予定です。あ~、また各方面からバッシングの嵐かもしれないなぁ(笑)
回想録(※)
2001年の同時多発テロ後に、最初に開いたのは東京市場でした。当時、名実ともに世界第二位の経済大国だった日本は、流動性供給のために敢えて市場を開く決断しました。
たまたま水曜日が休みの病院に勤務していた私は、リアルタイムで9月12日(水)の東京市場の動向を観察していました。
午前9時に東京市場が始まっても、全ての銘柄の板が空欄で、9時20分ごろに初めて新日本製鐵が寄ったことを覚えています。この日、私は全力で新日本製鐵へ買い向かいました。
半狂乱の相場環境で勝負するには流動性確保が鉄則です。当時は国内にETFが存在しなかったので、流動性を確保して勝負するには新日本製鐵を買うことがセオリーだったのです。
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