今日は起業の話です。
「起業」はハードルが高い!と思う方が多いでしょうが、実際はそれほど高くありません。


特に2010年以降はクラウド環境が急激に整備されたので、ローリスク・ハイリターンを狙える機会が増えました。アイデアを実現化するハードルは確実に下がったのです。


先日、任意組合の総会に出席しましたが、元ファンドマネージャーの方が「最近では、本当に有望な企業が増資する目的は資金調達ではない」とおっしゃられていました。


増資の目的が資金調達ではない? と訝しがる方が多いと思いますが、私は得心しました。真に収益率の高い企業にとって、資金は重要ではないと常々感じているからです。


有望な高収益企業が増資する最大の目的は、人脈やノウハウを獲得するためです。単にお金を出しましょう!という人など、高収益企業にとって何のメリットもありません。


本音では資金など不要なのですが、投資家が資金と一緒に提供する人脈やノウハウなどの経営資源が欲しいためにわざわざ増資するのです。


それほど資金が重要でなくなった背景には、欧米や中国が知的生産社会に突入しているため、従来型の製造業ほどには資金が必要なくなったという事情があります。


資金に代わって重要性を増しているのは優秀な人材です。Googleのアラン・ユースタス上級副社長によれば、一流エンジニアは平均的エンジニアの300倍の価値があるそうです。


私も知識集約ビジネスの端くれと言えるスタートアップを立ち上げてみましたが、有能な1人 >>> 平均的10人と感じています。というか、平均的な人では何の役にも立ちません。


そのような経験をした結果、私は極めて不公平な報酬体系をとってでも、優秀な人材を確保するべきだと考えるようになりました。


知識集約ビジネスにおける成果は、正規分布ではなく「べき分布」となります。このため、上位数%の優秀人材を確保するためには「悪平等」を徹底的に排除する必要があります。


一方、知識集約ビジネスは、 組織化したり仕組み化する難易度が非常に高いです。 従来型の製造業や販売業では、生産性の差は肉体的に発生します。


肉体労働がメインのビジネスでは、優秀な人と平均的な人の生産性格差は、せいぜい2~3倍程度です。しかし、知識集約ビジネスでは数百倍レベルの圧倒的な格差が発生します。


このため、従来型の製造業や販売業で有効だった組織化の手法では、知識集約ビジネスに対応できないことがほとんどです。それでも拡張性を得るためには組織化が必要です。


このため、私は試行錯誤しながら「自分のコピー」を作ることに専念しています。能力の高そうなスタッフを選抜して、考え方や業務の回し方を伝えています。


うまくいくはどうかは分かりません。しかし、とにかくまず優秀な人材をひとり育て上げ、その人材を核にして乗数的に他のスタッフを育成する。。。


気が遠くなるような作業が必要ですが、どの段階においても大きな資金需要は発生していないことに気付くと思います。起業において重要なのは、資金ではなく人材なのです。


資金など要らないから、組織化に必要とされるスキル・熱意・時間を提供してくれるパートナ―が欲しい・・・ 切実な悩みです。


人材を育成するという意味では、起業のハードルは未だに高いと言えます。このため、人材育成が不要で、スペックと購入価格のみで全てが決まる不動産投資が人気化するのです。


ただし、不動産投資は人材育成の必要が無いことの裏返しで、収益性が低いです。一方、クリニック経営は医師の能力のみに依存するため、不動産と本格的起業の中間に位置します。


どれを選択するのかは考え方次第ですが、昔と比べると不動産投資やクリニック経営の環境は悪化しつつあり、その一方で起業に掛かるコストは逓減傾向にあります。


まだまだ起業が容易でないことは事実です。しかし、失うものが自分の時間だけであるならば、ビジネスチャンスを見つけて起業にチャレンジするのもいいかもしれませんね。





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