高齢者の大腿骨近位部骨折の治療で悩まされる機会は多いです。骨折そのものというよりも、肺炎等の骨折に併発している疾患が問題となります。


私が先輩医師から教わった理論(?)は、高齢者に肺炎併発 → しんどくてふらついて転倒 → 大腿骨近位部骨折 というパターンです。


このパターンを踏襲している症例では肺炎を発症しているので、手術を施行することが難しくなります。


こうなってくると麻酔科医師との協議になるのですが、誰かがリスクを取る必要があります。手術を敢行するなら主治医と麻酔科医師、待機するなら主治医のリスクとなります。


そして肺炎といっても軽度から重度までさまざまです。重度の肺炎ではさすがに手術を施行しようとは思いません。しかし、軽度の肺炎ではどうでしょう?


私は、手術可能か否かの判断材料のひとつとして、患者さんが「しっかり話をすることができるのか否か」を重要視しています。


重度の肺炎患者さんでは会話をすることもできない一方で、軽度の肺炎では呼吸苦も無いため大きな声でしっかり会話できるからです。


先日も肺炎を併発している超高齢者の大腿骨転子部骨折患者さんの手術可否について悩みました。この方は大きな声でしっかり話すので、思い切って手術を敢行しました。


麻酔科医師には迷惑な話だと思いますが、患者さんのことを最優先で考えるとそのような結論になりました。この判断法の勝率は高く、まだ重篤な状態になった患者さんは居ません。


もちろん、個人レベルのエビデンスの無い経験則であり、今後地雷を踏む可能性もあります。しかし医師である以上、ある程度のリスクを引き受けて治療を行うべきだと思います。





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