手根管症候群の保存治療って、案外難しいと思います。困ったら手術すればよいという意見もありますが、若年者の手根管症候群はどうでしょう?


若年者の手根管症候群は大半が産褥期ですが、そうではない患者さんも散見します。いくら簡単な手術とはいえ、若年者に手術を施行するのは少し抵抗があります・・・


そこで、保存治療と格闘するのですが、なかなか決定打は無いという実感です。手根管症候群の本態は屈筋腱滑膜炎です。このため保存治療の目的は、いかにして滑膜炎を抑えるかです。


屈筋腱滑膜炎を制御することが治療目的となるので、プレガバリン投与でしびれを緩和する等の行為は治療ではないと考えています。私が実践しているのは下記の手順です。


  1.  外固定
  2.  手根管内ストロイド注射


まず最も手軽な、手関節の夜間シーネ固定から治療を開始します。この際のポイントは、手関節をやや背屈させて固定することです。中間位固定よりも症状緩和効果を期待できます。


1~2週間様子をみて改善が無ければ、手根管内へのストロイド注射を施行します。この際、皮内針(27G針)を長掌筋腱の尺側から手根管内に注射するとよいでしょう。


夜間シーネ固定も併用して、更に1~2週間様子をみて様子を見ます。若年者の場合は、この治療法で何とかしのげることが多いです。


若年者の手根管症候群は何かと気を使いますが、なんとか泥縄式(?)で対応しているのが現状です。もう一手ほど、何か効果的な治療があればなと感じています。。。





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