先日、大腿骨頚部骨折後偽関節に対する人工股関節全置換術(THA)がありました。まだ60歳台ですが、既に寛骨臼側にOAも認められたため他院から紹介されました。
何故こうなってしまったのか疑問でしたが、半年ほど痛みに堪えて歩行していたとのことです。紹介時には、歩行不能となって1ヵ月が経過していました。悩ましい。。。
人工骨頭置換術でお茶を濁す手も無きにしも非ずですが、年齢が若いことと今後の活動性を考えて、セオリー通りにTHAを施行することにしました。
しかし、この手の症例は、骨質が極端に悪いことが多いので要注意です。私は基本的にセメントレス派ですが、念のためセメントTHAもバックアップして手術に臨みました。
案の定、骨質が非常に不良で、寛骨臼のリーミングもほんの数秒で内板まで到達してしまいました。軟骨下骨をある程度温存するつもりでしたが、感覚が分かりませんでした。
大腿骨も骨質不良でしたが、一応セメントレスステムでラスピングしてみました。意外とプレスフィットしたので、そのままセメントレスステムで終了しました。
終わってみると、意外にも寛骨臼・大腿骨側ともセメントレスでしのぐことができました。あ~、よかった。カチカチのOAと比べると、このような症例は非常に緊張します。
いつも思うのですが、このような症例はできるだけ避けたいところです。まぁ、誰かがしなければいけないわけですが。。。
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