先日の東京医科歯科大学 救急災害医学分野の大友康裕教授による、テロへの対応 ― 爆傷外傷を中心に のつづきです。




爆傷患者受け入れ上の注意点

近隣で爆弾テロが発生し、多くの爆傷外傷患者を収容することになった場合、受け入れ医療 機関として認識しておくべき点は下記のごとくです。


1. 現場トリアージは正しく判定できない

2. 現場の危険性を考慮して、搬送受け入れは即決回答する

意図的なテロの場合、ほとんどの事例で第2、第3の爆弾が仕掛けられています。現場は非常に危険な状況となっており、現場への滞在時間の延長は2次被害のリスクを増大させます。


3. 放射線検知を忘れない

爆弾に放射性物質を混ぜ込んだDirty Bomb の可能性を常に念頭に置いておきましょう。爆弾テロ現場からの患者を診療する前に、かぶった粉塵の放射線検知を実施します。


放射性物質の有無にかかわらず、粉塵の吸入自体にも長期的な呼吸器障害が報告されているので、爆傷患者を診察する際にはN95マスク を装着しましょう。


4. 初めに受診する軽症例に忙殺されない

海外の報告では、爆弾テロ発生後に近くの救急医療機関を最初に受診する患者は、自力移動可能な軽症者で、それは発災10~15分後と非常に早いです。


気が付いたら救急外来に大量の軽症患者が待っている状況となります。軽症患者の診療に忙殺されていると、その後に重症例が搬送されてきます。


初期の軽症例に医療資源をすべて費やすことなく、その後来るであろう重症患者の受け入れ体制を整えておく必要があります。


5. 病院のセキュリティを確保する

医療機関はテロのターゲットとなります。このため「病院が狙われる」ということを念頭に置 いておくことが必要であります。





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