先日、鎖骨骨折後の偽関節手術を経験した私は、保存治療に対して少し臆病になっています。やはり、鎖骨の偽関節手術は面倒なので、できればやりたくない手術なのです。


このため、下記の条件を全て満たしてしまう患者さんに関しては、渋々ですが手術治療を勧めるようにしています。

  •  第3骨片を伴う粉砕骨折
  •  メインの骨片間の接触がない
  •  ヘビースモーカー



術式に関しては、リコンストラクションプレートを選択することが多いです。プレート固定では、ドライバーが患者さんの下顎が当ってスクリュー挿入の障害になることがあります。


これを避けるためには、頭部を健側に回旋させてドライバーが下顎に当らないようにする必要があります。


ほとんどの症例で問題なく手術を施行できますが、40歳以上の患者さんの場合には、頚椎症性神経根症の存在に注意する必要があります。


もともと頚椎症性神経根症のある患者さんでは、術中に頭部を無理に回旋させることで、術後に症状が増悪する場合があります。


術後に神経根症を併発すると、耐えがたい上肢痛がしばらく続く。。。 これを経験すると、患者さんに恨まれるので、絶対に避けねば! という気持ちになります。


術後の頚椎症性神経根症併発リスクを確認するため、術前には必ずSpurling testを施行しています。このときに陽性になる場合は、術中の頭位に注意しましょう。







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