先日、特発性一過性大腿骨頭萎縮症(Transient osteoporosis of the hip; TOH)の症例を診察しました。TOHは比較的珍しい疾患といわれていますが、ちょくちょくお目にかかります。



T1WI - コピー


T2STIR - コピー



今回の方は50歳台男性で、1ヵ月前から誘因なく出現した右股関節部痛のために初診されました。上図のごとく右大腿骨近位部にT1WIで低信号、STIRで高信号領域を認めます。


TOHは、1959年にCurtissによって、妊婦の股関節に疹痛と単純X線上で骨萎縮を生じた3症例として初めて報告されました。


TOHの原因に関しては,、Sudeck骨萎縮説、閉鎖神経圧迫説、静脈圧迫説、一過性股関節炎説などの諸説が述べられていますが、未だ定説はありません。


発症後2~6ヵ月で自然に軽快することが多いため、部分免荷などで経過観察するべきだと言われています。しかし、私が診ている症例には、6ヵ月しても疼痛不変の方がいます。。。


曲がりなりにも私は股関節外科医なので、特発性大腿骨頭壊死症や急速破壊型股関節症を誤診する可能性は低いと思っているのですが・・・


単純X線像でも大腿骨頭の骨萎縮が高度になってきているので、そろそろ何らかの手を考えなければなりません。う~ん、どうしたものでしょう?






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