今、ホテル業界では「民泊新法特需」が発生しています。2018年6月15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)のために、グレーゾーンだった民泊が駆逐されたからです。


私のように旅館業法に則って経営している者にとって、法律の外側で跋扈していた民泊運営者は、本当に迷惑な存在でした。


旅館業法では消防や衛生設備への投資が必要で、運営上でも宿泊定員などの制約がキツイです。一方、民泊運営者は法律の規制が無かったので、やりたい放題の状態でした。


まさに正直者がバカを見る茶番が、全国で繰り広げられていました。そしてその茶番のインフラが、世界最大の民泊検索・予約サイトのAirbnbでした。


2014年に日本へ進出して以来、法整備が追い付いていないのをいいことに、ほとんどの民泊を無審査で掲載していました。


法律を遵守するコストがかからない民泊運営者は価格競争力で優位なため、すごい勢いで民泊施設が増えていきました。


私は2015年からの参加組ですが(法令遵守のため無許可施設は2016年に撤退)、参加者激増により収益性が坂道を転がり落ちるように減少していく様を身をもって体験しました。




Airbnbが法令遵守の大ナタを振るう!



そんなAirbnbが民泊新法施行にあたり、大ナタを振るいました。2018年5月時点で6万件以上あった施設が、6月以降は13800件にまで激減したのです。


営業許可を取得していない施設を強制的に削除したため、Airbnb界隈では大混乱が生じました。その結果、許可取得済みの施設に予約が殺到しました。


私が異変に気付いたのは6月に入ってからです。宿泊予定のゲストから何件か15日以降の宿泊は本当に大丈夫なのか?という問い合わせが入り始めたのです。


最初は何のことか分からなかったのですが、営業許可を取得していない施設の予約が大量キャンセルされたことが海外でもニュースになっていたようです。


私は、逆バージョンのレベニューマネジメント戦略(宿泊日に向けて段階的に価格を下げていく)を掲げているのですが、利幅の大きな1ヵ月以上先でもバンバン予約が入ります。


6~8月は値引き無しにもかかわらず、ほぼ満室稼働です。例年はお盆を除き閑散期なのですが、今年に限っては繁忙期かと思うほどの盛況振りです。


この状況は、東日本大震災後の仙台市内の不動産賃貸市場の様相に似ていると思います。震災前は、じり貧だった仙台の賃貸市場が、震災の影響で空前の活況を呈しました。


その活況も2018年現在ではほぼ消失しましたが、5年ほどは入れ食い状態だったようです。そして、今回の民泊新法祭でも、短期間は活況が続く見込みです。


凄まじい勢いでホテル建設ラッシュが続いているため、今回の特需の期間は1年ほどを予測しています。ついこの間までは宿泊業撤退を検討していたのがウソのようです。。。




特需を利用して出口を確定するのか?



仙台の事例に学ぶのであれば、今回は最後の売場なのかもしれません。宿泊施設のM&Aもかなり一般化してきているため、真剣に検討するべきなのでしょう。


しかし、私は相変わらず腰が重いです(笑)。ビジネス感覚に優れている人なら既に動き始めているはずですが、私は単純に現在の活況を謳歌しているだけでです。


その理由のひとつは、宿泊業がダメになれば賃貸にコンバージョンすればいいや! と出口戦略を明確にしていることが理由のひとつです。


今回の施設を購入した究極の目的は「立地の良い物件を手に入れる」ことです。物件購入の融資原資を得るために宿泊業を行っているので、そもそも売却という選択肢がありません。





特需の発生は予測し難い


今回の特需は、正直に言って全く予測していませんでした。後から考えると、Airbnbが法令遵守に舵をきれば、今回のようなことが起こりえたことは予測できたかもしれません。


そもそも誰にでも予測できるのであれば、利益を得るために特需発生前から供給増加が発生します。そうなると、激烈な特需は発生しにくくなります。


株式のバブルと同じで、特需発生を予測しにくいことが利益の源泉です。このことから、特需を狙いにいくのではなく、発生した特需に波乗りすることがベストではないでしょうか。




今回の顛末からの教訓


民泊新法特需は短期的ですが、もっと長期的な観点からの教訓がありました。それは、市場が急成長して規制が追い付いていない時が最も美味しい時期だということです。


市場の成長に規制が追い付くと、それまで大きな利益を得ていた人たちは大きな減収に見舞われます。別の言い方をすると、既存勢力に潰されるのです。


ほんの2~3年前には、民泊は希望の星でした。高収益を得ることのできる事業として注目を浴びていましたが、結局は既存勢力に潰されることになりました。


私は、途中から既存勢力側に転向しましたが、最後まで民泊特化でフルインベストメントだったら甚大な被害を被ったと思います。


仮想通貨にしてもそうですが、出る杭は打たれるというのが世の常のようです。潮目が変わったら即撤退するのが上手く渡っていくコツなのかもしれません。







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