先日、判断に迷う症例を経験しました。
100歳近い超高齢者の大腿骨頚部骨折(Garden stage 4)です。


転倒前のADLは、2mほどの伝い歩きレベルです。認知症はあるものの、俳徊するまではいきません。今回は、肺炎で熱発してしんどくなって転倒したようです。


入院時に結構な炎症所見亢進をみとめたため、即手術は難しいです。肺炎が軽快するまで1週間は要しそうです。


そして、単純X線像をみると、患側大腿骨の骨質が極めて不良です。皮質骨がペラペラで、ステムでも入れようものなら、容易に術中骨折や術後骨折を併発しそうです。


う~ん、困った。。。選択肢はふたつです。

  1.  肺炎が軽快するのを待機して手術を施行する
  2.  インオペにする


肺炎がある程度軽快するまで手術を待機すると、今よりも確実に歩行能力は落ちます。100歳ちかい高齢者が劇的に回復するとも思えません。


また、もともとのADLが伝い歩き2mほどなので、伸びしろが少ないです。ポータブルトイレまでなら偽関節でも行けるのではないのか???


このあたりを勘案した上で、ご家族と治療方針について話し合いました。ご家族としても100歳ちかくまで生きておられるので多くは望まないとのことでした。。。


この結果、今回はインオペにすることにしました。妥当な判断という認識ですが、正直に言って患者さんの歩行能力を奪うことになるので、かなりブルーな気持ちになりました。


おそらく、もう少し若い頃は、手術に決まってる! というスタンスだったと思います。正解の無い医療の現場では医師の決断が患者さんの予後を左右します。う~ん、重い。。。






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