日整会誌(J. Jpn. Orthop. Assoc.) 92:476-485 201 で、母指CM関節症の診断と治療という教育研修講座がありました。新潟手の外科研究所病院院長の坪川直人先生による論文です。



母指CM関節症の治療の第1選択は、保存治療である。局所安静、消炎鎮痛剤の内服、湿布、消炎鎮痛効果のある外用薬が選択される。


また CM関節固定装具による安静治療は、CM関節固定のほかに背側脱臼の整復効果もあり、MP関節過伸展の矯正効果も期待でき有用である。


また、関節内ステロイド注射が鎮痛作用に優れているため行われている。Spaans らは母指CM関節保存治療の systematic review において、装具療法と関節内ステロイドのみが効果が期待できると報告している。


一方、関節内ステロイド注射は、関節内の石灰化、周辺皮膚の色素変性、関節症の進行などの合併症があるため注意が必要である。




母指CM関節症の手術治療はたくさんありますが、なかなか決定打となる術式はありません。その一方、保存治療に関してはSpaansの報告は傾聴に値します。


つまり、装具療法と関節内ステロイドのみが効果が期待できるのです。関節内ステロイドは、母指を牽引してCM関節裂隙を開大すると、容易に関節注射可能です。






★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。