先日、ボディービルダーの男性が初診しました。
主訴は「左上肢の上腕二頭筋が小さくなってきた
」というものです。


なんだそりゃ? て感じだったのですが、 一応診察してみました。上腕を診たのですが、めちゃめくちゃ太い上腕です。しかも上腕二頭筋の大きさも半端ではありません。


この人ちょっとおかしいんじゃないの? と思ったのですが、とりあえず左右を比べたいので上半身裸になってもらうと、右と比べて左側が細い(?)気がします。


たしかに左右差ありそうですね~と私が言うと、いきなりフロント・ダブル・バイセップスのポーズ(下図)をとって、左の二頭筋小さいでしょう? とおっしゃられます(苦笑)。



555 - コピー





冷静さを保ちつつ、診察を進めると肩関節周囲は三角筋がやや菲薄化して肩甲骨の形が目立ちます。と言っても常人の上腕と比較すると、とんでもなく分厚い肩なのですが・・・


全体的にとんでもない筋肉量なので騙されていましたが、確かに筋萎縮があり左右差を認めます。筋萎縮と言っても絶対量で見ると常人よりもはるかに多い筋力量です。


しかし、左右差を考えると頚椎症性筋萎縮症を疑わせる所見です。今回はあまり有意義なオチではないのですが、頚椎症性筋萎縮症ではやはり左右差が大事だなと思いました。


まあここまでムキムキの人が頚椎症性筋萎縮症になるのも珍しいので、今回のようなピットフォールはあまり経験しないような気がしますが。。。






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。