先日、医師仲間内で iDeCo が話題になりました。ご存知のように、 iDeCo は節税効果が高く、医師のような高額取得者には打ってつけの金融商品(?)です。
このため、投資にあまり詳しくない医師であっても、 iDeCo をやっている人が多いです。しかし、単に iDeCo を続ければ良いというわけではありません.
iDeCo に関する情報をネットで調べてみると、多くの人が VT などのインデックス投資を行っているようです。
他人の投資に対してとやかく言うつもりはないですが、VT などのインデックス商品を iDeCo でドルコスト方式で購入するのは非常に効率の悪い手法だと感じています。
一般的にはインデックス商品をドルコスト方式で購入すると「負けない」と言われています。しかし、私はこれは誤りだと思っています。
その理由は iDeCo での投資期間は永久ではなく、退職等で投資資金を回収する時期が必ず来るからです。しかも、回収時期はほぼ確定しているため、機動的な選択ができません。
仮に投資資金を回収する時期に市場全体が低迷していると、現金で持っている方がマシだったということも起こりえます。
そして残念ながら、現在のように金融市場が割高な時期に iDeCo 開始した場合には、そのようなことが発生する確率はかなり高いと予想しています。
人生は意外なほど短いです。現在40歳の人が60歳まで iDeCo でVTを購入し続けたとしても、60歳時点で現在の半分の価値しかなければ目も当てられません。
歴史的には20年間株式市場が低迷することも珍しくありません。よく引き合いに出される右肩上がりの長期チャートは、1990年以降のたった30年間のランニングでしかないのです。
このように考えると、VT を盲目的にドルコスト方式で購入することは危険であることが分かります。特に現在のように市場が高騰している時期はなおさらです。
ではどうすればよいのか?というと、自分のポジショントークなのですが iDeCo では定期預金で運用(?)することを周囲にはお勧めしています。
iDeCo で定期預金を行うとはバカなやつだ(笑)と言われそうですが、私は大真面目で周囲の人に定期預金での運用を布教しています。
盲目的にインデックスをドルコスト方式で購入したから「負けない」などということはありえず、私はむしろ2017~2018年から始めた方の大半は負けると予想しています。
このようなことを書くと各方面からお叱りを受けそうですが、私は強く「 iDeCo は定期預金で運用しよう!」と言いたいです。
そして、金融市場がクラッシュしたときに、勇気をもって定期預金を VT 等のインデックス商品にスイッチするのです。
「日本は巨額の財政赤字を抱えているのでインフレが発生する。その時には VT などの株式投資が有用だ」という意見もありますが、インフレになればスイッチするだけです。
ある日突然インフレ率が20%になったなどということはありえず、通常は早くても半年~1年ほどかけて徐々に進行します。インフレに気付いた時点でスイッチするだけです。
20%のハイパーインフレが発生するかもしれないという意見もありますが、過去の歴史をひも解くとハイパーインフレ発生時には株式市場がクラッシュするので絶好の買い場です。
このように考えると、インフレが怖いから VT をドルコスト方式で購入しようという考え方は、いかに現実的ではないかがよく分かります。
何でもそうですが、フリーランチはあり得ません。運用から目を逸らして、盲目的にドルコスト方式で購入することは、決して褒められた行為ではないことを認識するべきでしょう。
★★ 医師のための金融資産形成術 ★★
資産家および医師を対象として、2015年10月に開催した本ブログ管理人による 「金融資産形成術セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。
勤務医・開業医の種類に関わらず、医師が資産形成する際には下記の3つを組み合わせることで効率良く資産形成することができます。
1. 医師免許をベースにした人的資産からのキャッシュフロー
2. 不動産からのキャッシュフロー
3. 金融資産投資の技術
①②で得られる安定したキャッシュフローを元手にして、③の金融資産投資技術を用いて資産形成するのです。しかし、多忙な医師が金融資産投資で結果を出すのは難しいのが現実です。
一方、金融資産投資は買値で投資収益性が決まります。 ”多忙な医師がいかにして金融資産を安く買うか?” という命題を解決するため、私は超長期逆張り投資戦略を選択しています。
今回の「金融資産投資術セミナー」は、資産形成マニュアルで提示した資産形成手法における金融資産投資の各論です。築古木造戸建投資は「守」、金融資産投資は「攻」という位置づけです。
築古木造戸建投資の「守」 と 金融資産投資の「攻」の組み合わせが、安定的な所得のある医師の資産形成における有力な選択肢のひとつと考えています。
低機動性のリスクが大きい事は全く同感です。また、特別法人税の凍結解除も必ず考慮すべきだと思います。
ideco は徴税強化ツールであり、加入者がある程度増えた後に凍結解除されると予想しています。理由は現在のような国家財政において、ideco のような高所得者優遇措置を置くメリットが存在しないからです。
もし、特別法人税が凍結解除されれば、ideco により政府は国民の投資・貯金の一部から徴税可能となります。これは、政府が株式市場の恩恵をノーリスクで受けるために有効だと思います(ダウンサイドを人に押し付ける事によって反脆弱性を得るタレブ曰く卑劣な方法ですが)。
そのためには、はじめ加入者を増やすためエサを撒く必要があるので、特別法人税のリスクは65に近い人ほど低く、若い人ほど高いです。
もちろん、特別法人税が削除されれば話は別ですが、国家財政や日本経済が十分に健全化するまで政府としては手放したくないものだと思います。
考え過ぎでしょうか笑