感染した人工股関節や人工骨頭を最置換する際は、普段セメントレスステムを使用している医師であってもセメントステムを選択することが多いと思います。
セメントステムを使用する際にはセメントリストリクターを使用しますが、感染症例では市販のセメントリストリクターを使用するのは何となく気持ち悪いものです。
そこで何か良い方法はないかと思って、経験豊富な何名かの医師に質問してみました。その中で出た案は下記のごとくです。
- 2セメント(抗生剤含有)
- 同種骨+抗生剤
- 人工骨(β-TCP)+抗生剤
2セメントテクニック
まず抗生剤含有セメントをステム先端付近の髄腔内に充填する。硬化したのちに本番のセメントを充填してステムを挿入する。
ただ、セメントがたれてしまってリストラクターとしての用をなさなかったり、近位までセメントが入ってステムが入らなくなるトラブルが発生しやすいとのことです。
同種骨+抗生剤
某旧帝国大学では、チップにした同種骨をガーゼで茶巾様に包んで、生食500ml+セファゾリン 2g に1時間浸しておくそうです。
こうすると同種骨に抗生剤が浸軟して徐放効果も期待でき、確実なリストラトも得られるとのことです。なるほどですね!
人工骨(β-TCP)+抗生剤
こちらは上記(同種骨+抗生剤)の亜型です。同種骨を利用できるのは大学や大規模基幹病院であり、普通の市中病院ではなかなか難しいのが現状です。
市中病院では同種骨の代わりに人工骨を使えばよいと思います。気孔率の高い β-TCP を選択します。気孔率が低いと、髄内でうまく砕けないので注意が必要です。
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