先日、足首を捻挫した70歳代後半の方の救急搬送依頼がありました。
病棟業務が忙しかったので、その救急依頼を受けるかどうか迷いました。
少し考えたのですが、経験的に高齢者の足関節外側靭帯損傷というのはあまり見たことがないので、足関節周囲骨折の可能性が高いと判断して救急を受けることにしました。
身体所見では足関節の外果に著明な腫脹と圧痛を認めました。単純 X 線像では予想どおり腓骨遠位端骨折をみとめました。
歩行困難だったのでそのまま入院してもらったのですが、救急搬送前の予想は正しかったことが証明されました。私の中では、足関節靭帯損傷は若年者の外傷であるという認識です。
理由はよくわからないですが、中高齢者の足関節外側靭帯損傷の経験はほとんどありません。これぐらいの年齢になってくると靭帯損傷ではなく骨折であることが多い印象です。
おそらく60歳以上になると骨粗鬆症のため急速に骨質が悪化することによって、靱帯よりも骨の方が脆弱になって靱帯損傷ではなく骨折を併発するのでしょう。
このようにな特性を知っていると、年齢と症状を聞いただけで入院適用があるかどうかは、ある程度判断できるようになります。
もちろん建前として救急は全例受けるべきなのでしょう。しかし、実際は投入できる医療資源には限りがあります。
限られた医療資源の中で売上を極大化するためには、このような外傷の特徴を知っておき、状況に応じてある程度のスクリーニングをすることが重要だと思いました。
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です