腰痛や背部痛は、整形外科では非常に一般的な症状です。多くの腰痛や背部痛は脊椎由来ですが、ときどき内科的疾患が原因となっていることもあります。
代表的なものは尿路結石ですが、膵炎や循環器系疾患が原因であることもあります。その中でも大動脈解離は見逃してしまうと取り返しのつかないことになります。
しかし、一般整形外科医が大動脈解離を診る機会はあまりないのが実情です。先日、大動脈解離を疑った症例があったので、どのよう診断すれば良いのかを調べてみました。
結論的に言うと、大動脈解離を確定診断をするには造影 CT を施行するしかありません。そうは言っても、いきなり整形外科医が造影CTを依頼するのは心理的ハードルが高い。。。
大動脈解離の随伴所見として、胸部大動脈解離の場合は単純X線像での右側胸水貯留、腹部大動脈解離であれば(条件が良ければ)腹部エコーで確認することも可能です。
しかし、これらは必ず認められる所見ではないため、あくまで参考程度です。 整形外科医的には、はっきりと数値でわかる血液生化学検査で異常所見があればありがたいのです。
残念ながら、血液生化学検査では典型的な所見はありません。ただ、 CRP や白血球などの炎症所見は亢進していることが多く、 LDH や総ビリルビンも高値であることが多いです。
D-dimmer も高値になりますが、検査結果が出るのに数日かかる施設が多いので実際的ではありません。
あと心電図で何か異常な所見があれば分かりやすいのですが、残念ながら心臓の近くで大動脈乖離が発生しない限りは異常所見は出ないようです。
また血圧に関しても常に高いというわけではなく、大動脈乖離の進行が止まると痛みも軽減することが多いので、多少痛みがましになったと言って大動脈解離を否定できません。
このようにまとめると、大動脈解離を確実に診断するには造影 CTしか無いのが現実のようです。いやはや、整形外科医にはなかなかハードルが高いですね・・・
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全身状態把握のため、術前にCTを取る。今までに経験したことのない背部痛、共通を訴える比較的若年者であれば、撮影して問題ないと考えます。
互いのために