整形外科あるあるのひとつに、大腿骨頚部骨折の見逃しがあります。実際には見逃しというよりも、骨折を強く疑うものの画像所見が無いため経過観察を行うというものです。



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昨年末に、転倒後から左股関節部痛が続いているという高齢者が初診されました。疼痛はあるものの歩行可能でした。比較的典型的なエピソードですね。



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大腿骨頚部骨折を強く疑い CTを撮像しましたが、明らかな骨折をみとめませんでした。年の瀬だったのでMRIまで予約できずに経過観察となりました。



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年明けに再診してもらうと、上記のように大腿骨頚部骨折でした。この時点で Garden stage 1 なので、骨接合術の適応となります。


年末の初診時点であっても保存治療の選択は難しかったので結果は同じです。しかし、改めて見直しましたが、初診時点ではXp、CTともに全く骨折している所見がありません。


このような症例であっても10日後には Garden stage 1 になっているのがコワイところです。もう少し放置すると、あっという間に Garden stage 3~4 になって人工骨頭です。


大腿骨頚部骨折の見逃しなんてありえないだろうと思いがちですが、世の中には MRIをすぐに撮像できないことが多々あります。くれぐれも慢心は禁物だと感じました。








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