昨日の話題は、2019 JOAで拝聴した鳥取大学の荻野浩先生の『骨粗鬆症性椎体骨折の治療  診療マニュアル作成の試み』でした。


荻野先生は骨粗鬆症性椎体骨折では、体位を変えた単純X線の側面像が重要であることを強調されており、実臨床でも非常に有用であると感じています。


ところが、講演の本題である『骨粗鬆症性椎体骨折の治療 診療マニュアル』に関しては、少しいただけないところがあるように感じました。


その理由は、今回は診療マニュアルであって診療ガイドラインではないことが端的に示しています。まず、本診療マニュアルは基本的にはエビデンスベース(のはず)です。


たくさんの論文をベースに、CQに対して下記のような回答がなされていました。

  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では外固定の種類と治療成績に有意差は無い
  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では外固定の有無と治療成績に有意差は無い
  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では受傷後の安静期間と治療成績に有意差は無い


いずれもドキッとするようなことばかりが並んでいます。それなら、今まで私たちがやってきた治療は一体何だったのでしょう???


少しブルーな気分で講演を拝聴していると、最後のまとめで「骨粗鬆症性椎体骨折の治療では12週程度の外固定が望ましい」と結ばれていました...。


う~ん、全く意味が分かりません。講演で聞き逃した点があったのか? それとも私の理解力が極端に低下している(=バカ)なのか???



ところが、質疑応答でフロアから、エビデンスと推奨部分が乖離しているとの指摘がありました。よかった~、疑問に思っていたのは私だけではなかった(笑)。


荻野先生曰く、エビデンスといっても十分な数が無いので鵜呑みにすることはできない。おまけに、エビデンス(?)ベースでは従来の整形外科診療の全否定につながりかねません。


これらの整合性を合わせるために「エキスパート・オピニオン」として無理矢理(?)従来の治療体系との整合性を設けたようです。


エキスパート・オピニオン...なかなか便利な言葉です。エビデンス否定になりますが、十分量のエビデンスの無い状況では現場を混乱させないための必要悪なのかもしれません。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        <