人工関節再置換術や感染人工関節の手術では、軟部組織が正常ではありません。このため、手術中に瘢痕組織からの出血で苦労することが多いです。


ある程度時間が経つと瘢痕組織からの出血は自然に止血されることが多いですが、ただでさえも侵襲の大きい手術なのに瘢痕組織からの出血がダラダラ続くのは好ましくありません。


また閉創時にしっかりと軟部組織を縫合できないことも多いので、術後も創部からじわじわと出血が続くことがあります。高齢者では出血性ショックを併発することさえあります。


このような組織からの oogingを抑えたい時は、トラネキサム酸(トランサミン)を静注もしくは点滴静注すると出血コントロールするできることが多いです。


トラネキサム酸の副作用には深部静脈血栓症がありますが、出血コントロールと血栓症併発のリスクを天秤にかけて、使用の可否を考えるべきだと思います。


しかしトラネキサム酸を投与したからといって、はっきりと深部静脈血栓症を併発する確率が上がるわけでもないようです。


そして、アフガニスタンやイラク戦争での米軍の研究では、トランサミン静注が兵士の救命率をあげたという報告もあります。


防衛省のTCCC(Tactical Combat Casualty Care)戦術的第一線救護関連の資料では、受傷後1時間以内のトラネキサム酸 1000mgの投与が推奨されています。


実際、手術中に軟部組織からの出血が止まらなくなった時や、術後に創部出血が続いて血圧が低下した時などにトラネキサム酸 1000mg 投与すると出血が止まるケースが多いです。


止血手段のひとつとして、トラネキサム酸の投与があるということを覚えておいて損はないと思います。





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