Medical Tribuneで興味深い記事がありました。待合室で臨床試験の映像を見ると関心が30%増 オーストラリア・2施設のRCT です。下記にある程度要約した文章を転載しました。



 患者や家族が病院の待合室のテレビ画面で、現在その地域で行われている臨床試験の情報を見た場合、見ていない場合と比べて臨床試験への関心が30%高まることが、オーストラリアで行われたランダム化比較試験(RCT)で示された。


救急診療部の待合室に大きなテレビを設置

 臨床試験はエビデンスに基づく医療の基礎であり、医療の進歩の原動力となっている。また、国によってはこうした臨床試験の大半が、税金、市販の医薬品や医療機器の購入、寄付などを通し、一般住民から直接・間接的に資金提供を受けている。また多くの臨床試験では、一般住民の参加が必要である。

 Gunnarsson氏らは、①臨床試験に対する一般住民の関心を推定する②現在その地域で行われている臨床試験の積極的な情報提供について、どの程度の一般住民が認識するのかを明らかにする③大きなテレビ画面を用いた臨床試験の宣伝が視聴者の関心に及ぼす影響を検討する-の3点を目的として、ステップウエッジデザインを用いたRCTを行った。

 テレビは、オーストラリアの2つの公立病院にある救急診療部の待合室に設置した。対象は救急診療部を訪れた患者(18歳以上)と同行した親族や友人とし、患者は自分で来院し(救急搬送は除外)、緊急で処置を受ける必要がなく、待合室で座って待つことができるなどの条件を満たしていることとした。テレビ画面には、両院がある地域で現在行われている臨床試験について、簡単な説明が映るようにし、さらに詳しく知りたい人はウェブサイトやQRコードから情報が見られるようにした。対照群には、テレビ画面を消して臨床試験の情報を見せないようにした。


高齢者、女性も関心強い

 2017年5月23日~11月10日に2,167例が適格基準を満たし、このうち1,501例(69.3%)が調査に回答した。

 解析の結果、介入により、臨床試験に対する関心が有意に高まることが分かり、オッズ比は1.3(95%CI 1.1~1.7、P=0.0063)であった。臨床試験への関心は、女性および年齢が高い者ほど高まることも示された。

 Gunnarsson氏らは「今後の研究では、臨床試験への関心が高まることで、資金提供の増加や、臨床試験に参加するモチベーションの向上につながることが明らかになるかもしれない」としている。



これはなかなか興味深い研究ですね。こういう医学の王道から少し脇に逸れた視点の研究は、肩の力を抜いて読めるので私は好きです。


さて、救急の待合室に設置されたテレビの影響は思いのほか大きいようです。昨今、テレビ離れが指摘されていますが、強制的に待たされる場所では暇つぶしツールになります。


病院や開業医の待合室でテレビが設置されていることは一般的ですが、そこで流す映像が普通のテレビ番組だったら勿体ない話です。


本研究のような地域で行われている臨床試験を流すのは敷居が高いですが、疾患説明や慢性疾患の継続治療の必要性などを流すと、治療継続率向上に資するかもしれません。


最近では動画編集は個人レベルでも簡単にできるようになっており、「そんな時間はもったいない!」という方でも安価に動画編集を請け負ってくれる業者さんが多くなりました。


待合室のテレビは、単なる暇つぶしではなく絶好の集患ツールになるかもしれません。程度の低いテレビ番組を垂れ流すぐらいなら、少しの投資で内容のある動画提供が吉でしょう。






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