日本整形外科学会雑誌の第93巻第10号をパラパラ読んでいると、興味深い教育研修講座がありました。ノンテクニカルスキルと手術安全チェックリスト です。


手術室は重篤な有害事象や医療事故が起きるリスクの高い場所です。そのようなリスクを低減するために重要なのは、ノンテクニカルスキルだそうです。


ノンテクニカルスキルとは、状況判断、コミュニケーション、チームワークであり、手術時の有害事象の発生を防ぐだけでなく手術成績も左右します。


具体的な例で説明すると、合併症の発生時には、早期に状況認識を行って速やかに発見し、合併症の連鎖を防ぐためにコミュニケーションを密にとってチームで対応します。


米国のサウスカロライナ州では下記のに3点を自発的に導入することで、死亡率を減少させることに成功したそうです。


  1. 手術安全チェックリストの運用
  2. ブリーフィング(チーム医療の視点から、事前の手順をチーム全員で確認すること)
  3. 外科医が手術チームにspeak upを呼びかける


いわゆるタイムアウトはブリーフィングに含まれます。また、speak upとは、患者にとって有害だと懸念される事象に気付いたスタッフは声を上げてくださいと呼びかける行為です。


手術中に声を上げることは勇気が要る行為であり、どこの国でも躊躇されがちです。それでもオープンな雰囲気をつくることで発言しやすくなります。


これらのノンテクニカルスキルを体系的に学ぶ機会はあまりありませんが、重篤な合併症予防のためには極めて重要だと感じています。


そして、現実的には外科医が中心にならざるを得ません。手術中は視野が狭くなりがちですが、カリカリするのではなく周囲の声を聴く度量が求められると思います。






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