原油ETFの勉強をしたのでまとめてみました。ちなみに、身銭を切った上での検証なので、目的は現在のポジションをどう処理するのかの実践的観点です。


原油ETFの構造的問題として、ロールオーバーのたびにコンタンゴのために減価していくことが挙げられます。つまり長期保有になるほど負ける確率が上昇します。


しかし、上記はあくまでも理論に過ぎません。実際の原油ETFの値動きはどうなのでしょう?日本の原油ETFで最も長いトラックレコードは 2010年上場の野村ETF(1699)です。


運用期間はそこそこありますが、過去に大きな値動きのあった 2008年の情報がありません。このため、世界最大の原油ETFであるUSO(United States Oil Fund)で検証しました。


12 - コピー



上図は、USOが上場した2006年以降の Crude Oil(原油)の超長期チャートです。この14年間に、2008年、2016年、2020年という 3度の大きな下落局面がありました。


222 - コピー



一方、USOのチャートですが、Crude Oilと少し形が異なることに気付きます。下記に過去の2回の原油価格下落→上昇局面での両者の値動きを比較します。


2009年~2011年
Crude Oil 3.3倍(33.87→113.93)
USO 1.85倍(24.35→ 45.15)


2016年~2018年
Crude Oil 2.52倍(29.42→74.15)
USO 1.88倍(8.33→ 15.69)



傾向としては、下落局面では忠実に Crude Oilの値動きをトラッキングしていますが、上昇局面では全く Crude Oilの上昇についていっていません。


しかも、時間が経過すればするほど、1バレルあたりの Crude Oilの価格>>>USOの価格となっています。


2006年から2009年までは、1バレルあたりの Crude Oilの価格 ≒ USOの価格です。しかし直近では、Crude Oilと USOの価格は 5倍以上に乖離しています。


このような値動きになるのは、冒頭で述べたロールオーバーの際のコンタンゴにともなう減価のためと思われます。それにしてもひどい長期チャートです。


結論的には、原油ETFは下落時に原油価格と同じペースで暴落し、原油価格の上昇時には半分も上昇しない商品設計のようです。


長期投資をベースにしている人にとっては、どうしようもない商品のようです...。かと言って短期で勝負するにしても、上昇幅が限られています。


2006年から14年のトラックレコードを持つ USOをもってしても、底値で拾っても2倍にも上昇しないという信じ難い値動きしかありません。


原油の底値買いをしたい人は、原油ETFに投資するぐらいなら石油株に投資する方が望ましいと考えます。ただし、すでに石油メジャーは底値から相当上昇していますが...。






★★  医師のための金融資産形成術  ★★


資産家および医師を対象として、2015年10月に開催した本ブログ管理人による 「金融資産形成術セミナー」 の動画、および講演で使用したスライドです。



NY夜景

      



勤務医・開業医の種類に関わらず、医師が資産形成する際には下記の3つを組み合わせることで効率良く資産形成することができます。


1. 医師免許をベースにした人的資産からのキャッシュフロー
2. 不動産からのキャッシュフロー
3. 金融資産投資の技術


①②で得られる安定したキャッシュフローを元手にして、③の金融資産投資技術を用いて資産形成するのです。しかし、多忙な医師が金融資産投資で結果を出すのは難しいのが現実です。


一方、金融資産投資は買値で投資収益性が決まります。 ”多忙な医師がいかにして金融資産を安く買うか?” という命題を解決するため、私は超長期逆張り投資戦略を選択しています。 


今回の「金融資産投資術セミナー」は、資産形成マニュアルで提示した資産形成手法における金融資産投資の各論です。築古木造戸建投資は「守」、金融資産投資は「攻」という位置づけです。


築古木造戸建投資の「守」 と 金融資産投資の「攻」の組み合わせが、安定的な所得のある医師の資産形成における有力な選択肢のひとつと考えています。