最近では脊椎手術を自分で執刀することがなくなりましたが、いくつか疑問点を残したまま関節外科医に特化してしまいました。


脊椎手術における疑問点のひとつが、頚椎椎弓形成術後の軸性疼痛です。以前、頚椎症性脊髄症の症例で選択的椎弓形成術(skip laminectomy)で頑固な軸性疼痛を経験しました。


Monthly Orthopaedics Vol.33(3) の「頚椎術後軸性疼痛の診かた」によると、軸性疼痛の原因はC2やC7棘突起に付着する筋群が原因となっている可能性があるとのことです。


軸性疼痛の臨床症状は下記のごとくです



  1. 生じる部位は頚部から肩・肩甲骨にかけて
  2. 愁訴の表現は、痛み、こり、はり、硬直感、牽引感、絞扼感
  3. 触診しても筋緊張が強いわけではない
  4. 離床直後、座位開始時~2週間ごろに発症
  5. 座位や立位で増強し、臥位で軽快する
  6. 座位であってもベッド柵にもたれかかるとさほど痛くない


実際に私が経験した症例は、④術翌日の離床時発症で、①②③⑤はまさにその通りでした。臥床していると症状が無いのですが、座位になると強い疼痛が発生しました。


このため、リハビリテーションが進まずに苦労した記憶があります。当時は今のように鎮痛剤のレパートリーも多くなかったので、SSRI等の処方でしのぎました。


基本的には低侵襲手術では軸性疼痛を併発しにくいと言われていますが、私の症例は skipだったので、C2,7とも侵襲が及んでいませんでした。


軸性疼痛がある程度軽快するまで1ヵ月以上かかりましたが、併発すると結構厳しい印象を抱いています。脊椎関係では未だ未解決の合併症があるようですね...。





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