先日、人工膝関節全置換術(TKA)を施行しました。この患者さんには同側の大腿骨近位部骨折の既往歴があり、かなり変形癒合しています。


高度の骨粗鬆症がベースにあるので、大腿骨近位部骨折術後はイベニティを投与していました。膝関節の単純X線像でもかなりの粗鬆骨のようです...。


骨脆弱性の強い患者さんの TKAは慎重に施行する必要があります。このため、執刀開始から慎重に展開して、可能なかぎり骨切り部や軟部組織に負荷がかからないようにしました。


この症例の難しい点は粗鬆骨であることだと思っていましたが、それ以上に大変だったのは大腿骨近位部骨折術後であるため、股関節の 3Dのアライメントが異常であったことです。


おそらく、大腿骨頚部が後捻しており、しかも内反までしています。術前計画ではミクリッツラインを受傷前の大腿骨頭位置に設定しました。


そのような対策をしていましたが、実際に術中で困ったのは、大腿骨頚部が後捻しているために大腿骨が過度に外旋していることです。


展開そのものが難しく、骨切りの角度や回旋決めでも難渋して、2時間を超える手術になってしまいました...。前日に筋トレを頑張り過ぎたこともありヘロヘロです(苦笑)。


やはり、同側に骨折の既往があると、予想外(?)のピットフォールが出現するようです。これからは骨折などの異常な既往症がある場合には、より注意しようと思いました。







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