先日、Herbert Type B2の舟状骨骨折の手術がありました。やや近位側の骨折ですが、Type B3まではいかない骨折部位です。


掌側・背側どちらのアプローチも選択できる骨折型です。私はほぼ全例で背側アプローチを採用しています。理由は舟状骨内の至適部位にスクリューを挿入できるからです。


ただ、背側アプローチでは舟状骨を栄養する動脈損傷が危惧されます。そこで舟状骨の動脈支配について調べてみました。


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The vascularity of the scaphoid bone. 
Richard H. Gelberman, M.D., J Hand Surg Am . 1980 Sep;5(5):508-13より模写



1980年にJ Hand Surg Am.に掲載された論文では、舟状骨の動脈支配が明らかにされています。舟状骨近位の70~80%は舟状骨腰部の背側から侵入する動脈に栄養されています。


このため、背側アプローチであっても、舟状骨を栄養するメインの動脈を損傷する可能性はほぼ無いようです。舟状骨遠位骨折以外は、背側アプローチに優位性がありそうです。





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