ニューズウィーク日本版に興味深い記事がありました。ヒトが進化している証拠? 前腕に動脈を3本持つ人が増えている です。



ヒトは現在も独自に進化し続けている----。オーストラリアの研究チームがこれを示唆する研究成果を明らかにした。

正中動脈は、前腕や手に血液を供給する主血管であり、ヒトの初期発生で形成されるが、妊娠8週あたりで退歩し、橈骨(とうこつ)動脈と尺骨(しゃくこつ)動脈がこの役割を担うようになる。このため、ほとんどの成人には正中動脈がないが、19世紀後半以降、成人になっても正中動脈を保持している人が明らかに増えていることがわかった。



これには驚きました。正中動脈という名称は初めて聞きます。ニューズウィークによると、33%の人に正中動脈が存在するようです。


正中動脈 - コピー

Wikimediaより転載


ニューズウィークに掲載されている解剖をみると、手根管の中にまで走行しているようです。整形外科医は、手関節レベルで掌側を展開する機会が多いです。


日常的にこの部分を頻回に観察しているはずですが、私は未だかつて一度も正中動脈の存在に気付きませんでした。


その理由は単純に正中動脈を探さないからでしょう。手根管症候群は横靭帯を切除するだけですし、橈骨遠位端骨折では橈骨を展開する際に周囲の軟部組織を排除するだけですから。


整形外科医的な観点では、正中動脈があると橈骨動脈を損傷した場合でも、手指の血流を確保できるメリットがあります。MRAを施行すると、その存在有無を確認できそうですね。





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