先日、左THAの術後3週目の患者さんが、荷重時の左股関節部痛を訴え始めました。転倒などの外傷はありません。
念のため単純X線像を撮影したところ、カップに異常はないものの、術後2週目と比較してステムが2mmほど沈下している可能性がありました。
おそらく、ステムの沈下が左股関節部痛の原因なのでしょう。私は高齢者の大腿骨頚部骨折はほとんどの症例でセメントを使用するので、派手なステム沈下の経験はほぼありません。
このため、最初に結構な股関節部痛を訴えたときにはカップが動いたのか?と冷や汗をかきました。しかし、結果的にはステム沈下が左股関節部痛の原因のようでした。
ステム沈下を発生すると、歩行時の疼痛が結構高度です。このため、患者さん自らが疼痛自制内の部分荷重歩行となるので、こちらとしても好都合です。
治療方針としては、沈下が止まるまで疼痛自制内の部分荷重で経過観察することになります。ステムは最終的には沈下が止まりますが、問題点は関節の弛緩性を併発することです。
多少の沈下ならOKという症例では問題になりませんが、もともと関節安定性にやや難ありな症例では、沈下の程度を小さくするために、しばらく免荷した方がよいかもしれません。
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