先日の人工股関節全置換術(THA)は、大腿骨頚部がほとんど存在しない症例でした。しかも、患側がかなり短縮しています。
一般的なセメントレスステムでは、大腿骨近位部の固定性が重要です。また、セメントステムにおいても、大腿骨頚部が欠損していると回旋安定性に不安を残します。
このような大腿骨頚部の無い症例では、ツバイミューラー型の遠位固定のセメントレスステムを選択すると良いと思います。
大腿骨頚部前捻角に大きな異常があれば、S-ROM-Aも選択肢になります。しかし、S-ROM-Aは手技が煩雑で、しかもピットフォールが満載です。
その点、ツバイミューラー型のセメントレスステムは手技も簡単なので、手術に対するストレスは小さくなります。出張先病院での執刀で愛用している方も多いことでしょう。
大腿骨頚部がほとんど無い症例はビビッてしまいますが、脚延長さえ乗り越えることができれば、ツバイミューラー型のセメントレスステムで問題なく対応できると思います。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です