先日、ハンソンピンの抜釘を施行しました。ハンソンピンの抜釘は、THAへのコンバージョンの際にしか施行したことがなく初めての経験でした。


何となく嫌な予感がしたので、それなりに頭の中でシミュレーションして臨んだのですが、予想通りなかなか難しい手術でした。


まず、皮膚切開からして大変です。ご存知のようにハンソンピンの皮膚切開長は2㎝程度しかありません。しかし、そんな小切開ではピンを抜去できないのです。


やむを得ず皮膚切開を延長することになりますが、まだまだ難関が控えています。大腿骨外側からピンの尾部が飛び出ているので指先で触知することは可能です。


しかし、透視下に抜去用アタッチメントを装着することはほぼ不可能です。その理由はピン尾部は瘢痕組織に覆われているからです。


この瘢痕組織を小切開+ブラインドで切除して、完全にピン尾部を展開することは至難の業です。このため、直視下にピン尾部が展開できたことを確認する必要があります。


しかし、イメージを使用するために側臥位ではなく仰臥位で手術を施行しています。このため、創内部に光が届かずぜんぜん見えないのです...。


全てを解決する方法は長大な皮膚切開を追加することですが、抜釘するような若年者に対して、2cmの皮膚切開を6㎝に延長するなど、なかなか憚られる選択肢です。


そして苦労してアタッチメントを装着しても、内部のフックだけが抜けてしまい、本体のピンが残ってしまうことが高率にあります。専用抜去器はあるものの、装着が難しいです。


今回の症例では、ピンの抜去器を装着することができなかったため、ラジオペンチで力業で抜去せざるを得ませんでした。


もちろん初回手術よりも手術時間は長かったです。ハンソンピンの抜釘は、なかなか侮れない手術だと感じました。






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