4月になって新年度入りすると、毎年恒例の行事があります。それは大学から派遣されてくる新米医師の外来指導です。彼らの外勤先病院なので毎年のように新人ばかりです。
電子カルテの使用法というよりは、整形外科医としての経験が不足しているため目を光らせなければなりません。先日も、新米医師の外来指導に入ったのですが非常に疲れます。
しかし、彼らを指導することで、久し振りに新たな気付きを得ました。それは下記 2点のために、ベテランと新米の間で診療に大きな差異が発生することです。
- 診療を予測しておこなっている
- コストや患者負担を考えている
①に関してですが、日常的に自分が行っている診療は、無意識のうちに傷病や疾患がどのような経過をたどるのかを予測しながら治療していたのです。
一方、傷病や疾患の治療経験の無い新米医師は、予測能力が働かないため治療方針が非常に的を得ないものになります。予測能力がこれほど重要であるとは思いもしませんでした。
例えば、数日前から両下肢の間欠性跛行が出現した患者さんが初診されたのですが、ABIで血管障害を除外したうえで、いきなり腰椎MRIを依頼しようとしていました。
ABIまではOKなのですが、いきなりMRIはいただけません。経験ある医師であれば、このような症状はしばらくすると経過観察のみで軽快することがあることを知っているものです。
②のコストや患者さん負担を考えることも重要です。これはそこそこベテランの医師でもスルーしていることが多いので注意が必要です。
患者さんの保険区分や、検査に時間を取れる人なのかを勘案しながら治療法を提案するのは、新米医師にとってはほぼ不可能です。このあたりが経験の差なのでしょう。
新米医師の指導を通じて、自分がベテラン医師として持っている価値の源泉が何であるのかを再認識できました。非常に面倒で億劫ですが、新米医師指導も悪くないモノです。
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