THA予定の患者さんで腎機能障害をきたしている方が何名かいます。
推算糸球体濾過量(eGFR)が、25-35mL/min/1.73㎡程度でした。
慢性腎臓病(CKD)の病気分類ではstage 4の”高度低下”となるようです。
http://www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/check/check.html
術後抗生剤の用量調整は行いますが、NSAIDsを投与するべきか悩みます。
術後に鎮痛剤無しはかなりかわいそうですし、ストレス性消化管潰瘍併発の危険性もあります。
DVT対策で抗凝固療法を行う(eGFR>30mL/min./1.73㎡の方のみ)ので、持続硬膜外チューブ留置も気持ち悪いです。
そこで、少しでも腎臓の負担が少ないNSAIDsはどれかを調べてみました。
ロキソニン → 肝代謝、腎排泄
セレコックス → 肝代謝、肝排泄
ハイペン → 肝代謝、肝排泄
添付文章上は、セレコックスもしくはハイペンが、まだましなようです。
ハイペンは腎機能障害例でも通常量での投与可と記載があったので、今回はハイペンにしようと思います。
2012.5.29 追記
腎臓内科医さまに、NSAIDs間の腎機能障害に差は無いとのご指摘をいただきました。
これを受けてNSAIDsの使用は止めて、アセトアミノフェンでの対応にしようと思います。
御教示いただき、誠にありがとうございました。
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腎臓内科10年目の医師です。
しっかりと調べていらっしゃって素晴らしいですね。
こういう姿勢を見習いたいと思います。
以下の書き込みは、
先生の方針に異を唱えるものでなく、いち専門家からの意見と思って頂ければ幸いです。
>eGFRについて
eGFRは、単位が1.73m2 で計算されている事からも、
個々の人のGFRを表したものではありません。
各個人の腎機能の計算には、Cockcroft-Gault式などによる、
Ccrの計算が良いかと思います。
添付文書もCcrに合わせて記載してあると思います。
>Cox2阻害剤について
Cox2阻害剤は、潰瘍の発生については減少できる様ですが、残念ながら腎機能障害については、通常のNSAIDsと同様と考えられています。 特に腎機能が元から悪い方や、肝硬変、心不全患者さんではリスクが高まります。 代替案としてはアセトアミノフェンやオピオイドなどが考えられると思います。
本件に関して開示すべきCOIはありません。
突然、不躾な書き込みですいません。
お読み頂きありがとうございました。