今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
非手術側が高位脱臼股(Crowe grade 2)のため、脚長差が3cm程度ありました。これを代償するため、立位AP像での骨盤の傾きが床面に対して10度ほど形成されています。


腰椎は高度の変性側彎をきたしており、左右側屈の動態撮影でも可動性に乏しいタイプのspondylosisでした。典型的なsecondary hip-spine syndromeです。


腰椎の変性が高度でなければ、股関節の脚長をそろえることで骨盤の傾きも矯正できます。
しかし、今回のように高度の変性側彎をきたすようなタイプのspondylosisでは、骨盤の傾きが残存することが予想されます。


したがって、今回の術前計画では骨盤の傾きを10度として、カップの外方傾斜角を35度に設定しました。かなりカップ外側が寛骨臼からはみ出ますが、骨移植で対応しました。術後X線像では、狙いどおりにカップ外方傾斜角度は35度でした。


hip-spine syndromeの概念がでるまでは外方傾斜角を全例40度に設定していました。しかし、現在では骨盤傾斜に異常をきたすような変性側彎を併発している症例には、骨盤傾斜を考慮に入れたカップ設置角度にしています。