整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

感染

人工関節感染制圧のための3つのポイント

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先日、MSSAによる THA後の感染を経験しました。術後1ヵ月以内に併発したので、急性期に分類されると思います。


思い切って一期的に掻爬洗浄術+再置換術を施行したところ、なんとか感染を制御することができて無事に退院されました。


今回の症例でいろいろ勉強しましたが、一期的に感染を鎮静化できた因子は下記のようなことかなと思っています。


  1. 交換可能なインプラントは思い切って交換した
  2. 抜去しないインプラントは清潔歯ブラシで徹底的に表面をこすりまくった
  3. 早期からリファンピシンを併用した


①②はもちろんバイオフィルム対策です。本来なら全てのインプラントを抜去することが感染制御には望ましいですが、セメントレスではそういう訳にもいきません。


このため、交換できる部分を交換したうえで、交換できないインプラントの表面に生着した細菌のバイオフィルムを除去することが治療の主眼になります。


インプラント表面のバイオフィルムを物理的に除去するために、歯ブラシでインプラント表面を徹底的にこすりまくったのです。


③のリファンピシンも、実はバイオフィルム対策です。
リファンピシンはバイオフィルムを通過することで高い細胞内活性を示して殺菌的に働きます。


こうしてみると、人工関節全置換術感染において感染制圧のポイントはバイオフィルム対策であることが良く分かります。


もちろん、今回は私個人の小経験なので、事実と全く異なる可能性はあります。しかし、上記で挙げた3つの手法は論文でも取り上げられており、かなり効果がある印象でした。






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パクリだった!蜂窩織炎の治療効果判定法

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先日、蜂窩織炎のカンタン治療効果判定法というお題をブログにアップしたところ、そこそこ反響がありました。


すごいアイデアですね!的な感じだったのかもしれませんが、じつは「パクリ」なのです。私自身のオリジナルアイデアではありません。


それでは何をパクったのかというと、看護師さんが術後患者さんのガーゼに出血のマーキングをしていることにヒントを得たのです。


私がメインで勤務している病院ではガーゼの上に防水のカテリープを貼付します。術後2日目ぐらいまで、ジワジワと出血がガーゼ上に広がることがあります。


病棟の看護師さんは経時的に出血斑がガーゼ上に広がるか否かを判断するために、マジックペンでマーキングしているのです。おそらく全国的に広く行われている行為だと思います。


最近まで当たり前の行為としてスルーしていたのですが、蜂窩織炎の治療効果判定法で何か良いアイデアが無いかと考えていた時に、その存在に気付いたのです。


つまり、看護師さんの出血判定法のパクリなんですね。私のオリジナルアイデアではないことが良く分かると思います。


ちなみに前回ブログでは分かりやすいように点線で記しましたが、実際には線でマーキングした方が消えにくいので実用的です。興味のある方は試してみてくださいね。






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蜂窩織炎のカンタン治療効果判定法

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外来をしていると蜂窩織炎の患者さんを治療することがあります。しかし、自分の外来出番の関係で、適切な日に受診してもらうのは難しいのが実情です。


例えば本来なら3日後に再診して創の確認をしたいところなのに、次回は1週間後にしか直接診察できない等はザラにあります。このような時には他の外来医師の受診を促します。


しかし、カルテ記載だけでは蜂窩織炎が軽快しているのか否かは判断できないです。当初は発赤範囲を計測してカルテ記載していましたが、再現性に難があり実用的ではありません。



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そこで最近実践しているのは上記のような方法です。蜂窩織炎の辺縁を油性マジックでマーキングしています。これだと蜂窩織炎の範囲が縮小しているのかが一目で判断できます。


カルテにごちゃごちゃ記載する必要もありません。油性なので入浴しても数日程度なら問題なく残っています。こうすることで現在の治療で問題無いのか否かの判断を行います。


副次的なメリットとして、患者さんご本人にも治療効果が一目瞭然であることが挙げられます。蜂窩織炎の患者さんを見かけたら実践することをお勧めします。






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抗生剤が配給制?!

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2019年2月から第一世代セフェム系抗生物質のセファゾリンが供給停止に陥っています。原因は、セファゾリンのシェア6割を占める日医工への原薬が納品されなくなったためです。


製造元の日医工の発表によると、2018年の年末からセファゾリンの原薬がスムーズに納品されなくなり始め、2019年 1月には 3/4に異物が混入する事態に陥りました。


2019年 2月には製造した全てのセファゾリンに異物が混入するという異常事態になったため、供給停止を決めたようです。


事の重大さから、厚労省は2019年 3月 29日付けで事務連絡をホームページで公表しました。医療の現場からセファゾリンが消えるとなると、その影響は甚大です...


医師としてメインで勤務している施設は、幸い日医工ではなかったのですが、今月になっていよいよセファゾリンが新規で入手不可となりました。


それなら、厚労省の推奨薬であるセフォチアム(パンスポリン)やセフメタゾール(セフメタゾン)でいこうと思ったら、これらの薬剤もスムーズに入荷できないとのことです...


どうやら、抗生剤全般が配給制(?)のような状態になるそうで、制約無しで共有されるのはカルバペネム系とニューキノロン系のみとのことでした。


どうしてそうなるのかサッパリ分かりません。「カルバペネムを 1st choiceで使うぞ!」と薬剤部を脅すと、「それだけはご勘弁を!」というお約束の寸劇がありました。


冗談はさておき、術後の予防投与ならまだしも、ホンモノの感染症に対峙するにはあまりに心許ない環境です。現状で化膿性脊椎炎患者さんを抱えているのでヒヤヒヤものです。


抗生剤の配給制とか聞いたことが無いので、他県の医師に確認すると「知らん」の一言でした。うちの近隣だけなのでしょうか??? そうであれば迷惑この上無しです。


ただひとつ言えることは、廉価で利益の薄いジェネリック医薬品(今回のセファゾリン)は供給が不安定になりがちという大きな問題点があるようです。


医療費削減のためには仕方無いですが、安定供給されない薬剤ほど困ったモノはありません。感染症に対峙するためにも、早くセファゾリンの安定供給が再開してほしいものです。






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化膿性椎間炎は正中矢状断だけで診断するな!

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先日、80歳台前半の方が腰痛で初診されました。
1週間前から誘因なく疼痛が発症したとのことです。


歩行は何とか可能ですが、かなり痛そうです。単純X線像では、臥位・座位側面像の比較でも著変ありません。そこで MRIを施行しました。



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矢状断では L3, 4椎体に高信号領域を認めるものの、骨折ではなく OAっぽいです。念のため冠状断も確認しました。何となく違和感を感じます...。



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よく見ると右腸腰筋が腫大しているではありませんか!もう一度矢状断を確認すると、L3/4の右外側端で椎間板の一部に高信号領域を認めます。



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急いで血液生化学検査を施行すると、WBC/CRP 9000/8.7で、ESR 1Hが 73mmでした。どうやら腸腰筋膿瘍および化膿性椎間板炎のようです。ちなみに熱発はありませんでした。


脊椎圧迫骨折しかアタマになくて、化膿性椎間板炎は想定外でした。今回の教訓は、STIRの正中矢状断で椎間板の高信号領域がなくても、化膿性椎間炎を否定できないことでした。






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