整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

感染

手指骨髄炎は最後まで保存治療も一法?

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最近は日本の社会が豊かになったため、昔ほど骨髄炎は一般的ではなくなりました。もちろん、人工関節置換術後感染や化膿性脊椎炎は一定数ありますが、四肢骨髄炎は少ないです。


そんな中でも、手指や足趾の末節骨骨髄炎は比較的多い印象です。これらの骨は体表に近いため、容易に細菌に曝露されやすいのが原因でしょう。


さて、これらの患者さんが受診するころには、結構な頻度で末節骨の骨融解が進行しています。局所的にも腫脹・発赤が著明で痛そうです。


医師側もこれらの所見をみると少々焦って「早期に手術が必要かな?」と考えます。しかし、発症からある程度時間が経過していると骨融解がかなり進行している症例が多いです。


このように骨融解がかなり進行した症例では、そのまま抗生剤を投与して感染をある程度コントロールしながら経過観察するのも一法ではないかと思います。


骨髄炎が難治性なので腐骨化して血流や抗生剤が感染巣に届かないことが原因です。しかし、骨融解して骨が無くなると局所の血流が改善して抗生剤も届きやすくなります。


こうなると、保存的に自然治癒する確率が上昇します。さすがに長管骨ではすべての骨が融解することはなさそうですが、手指や足趾の末節骨に関しては十分にあり得る話です。


手指や足趾の末節骨骨髄炎で初診時にかなり骨融解が進行している症例では、そのまますべての骨が無くなるまで抗生剤投与しつつ経過観察を行うのも一法ではないでしょうか。





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SSI併発は術後数時間で決まる!

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先日、日本整形外科学会雑誌 93(11)2019の 938-946に興味深い教育研修講座がありました。NTT東日本関東病院の釘原先生による 周術期感染症対策はどう変わるのか です。


内容は、WHO, ACS, CDCの各ガイドラインの比較および周術期感染症予防対策をレビューしたものです。周知のことが大半でしたが、SSIの発生機序の部分に注意喚起されました。


それは、SSIが発症するかどうかは術中から術後数時間の間に決まると考えられていることです。落下細菌もあるので、術中に術野へ細菌が混入することは避けることができません。


しかし、ほとんどの症例では好中球が細菌を貪食する生体防御能が働き、細菌増殖が抑えられるため SSIは発症しません。そして、周術期の抗菌薬投与は好中球を助けます。


一方、手術による侵襲そのものが患者サイドの免疫能を低下させる要因となります。更に糖尿病既往や低換気などの呼吸不全イベントは、著しく免疫能を低下させます。


このため、術中に混入した細菌の増殖を抑え込めるか否かが決まる術後数時間までの間の細菌との戦いで、いかにして完封するのかが SSI予防の成否を決めることになります。


周術期には好中球と細菌の戦いは必ず起こっています。SSI予防には好中球貪食能への援軍、すなわち抗生剤投与、適正な血糖コントロール、呼吸管理が必要となるのです。






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人工関節感染制圧のための3つのポイント

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先日、MSSAによる THA後の感染を経験しました。術後1ヵ月以内に併発したので、急性期に分類されると思います。


思い切って一期的に掻爬洗浄術+再置換術を施行したところ、なんとか感染を制御することができて無事に退院されました。


今回の症例でいろいろ勉強しましたが、一期的に感染を鎮静化できた因子は下記のようなことかなと思っています。


  1. 交換可能なインプラントは思い切って交換した
  2. 抜去しないインプラントは清潔歯ブラシで徹底的に表面をこすりまくった
  3. 早期からリファンピシンを併用した


①②はもちろんバイオフィルム対策です。本来なら全てのインプラントを抜去することが感染制御には望ましいですが、セメントレスではそういう訳にもいきません。


このため、交換できる部分を交換したうえで、交換できないインプラントの表面に生着した細菌のバイオフィルムを除去することが治療の主眼になります。


インプラント表面のバイオフィルムを物理的に除去するために、歯ブラシでインプラント表面を徹底的にこすりまくったのです。


③のリファンピシンも、実はバイオフィルム対策です。
リファンピシンはバイオフィルムを通過することで高い細胞内活性を示して殺菌的に働きます。


こうしてみると、人工関節全置換術感染において感染制圧のポイントはバイオフィルム対策であることが良く分かります。


もちろん、今回は私個人の小経験なので、事実と全く異なる可能性はあります。しかし、上記で挙げた3つの手法は論文でも取り上げられており、かなり効果がある印象でした。






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パクリだった!蜂窩織炎の治療効果判定法

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先日、蜂窩織炎のカンタン治療効果判定法というお題をブログにアップしたところ、そこそこ反響がありました。


すごいアイデアですね!的な感じだったのかもしれませんが、じつは「パクリ」なのです。私自身のオリジナルアイデアではありません。


それでは何をパクったのかというと、看護師さんが術後患者さんのガーゼに出血のマーキングをしていることにヒントを得たのです。


私がメインで勤務している病院ではガーゼの上に防水のカテリープを貼付します。術後2日目ぐらいまで、ジワジワと出血がガーゼ上に広がることがあります。


病棟の看護師さんは経時的に出血斑がガーゼ上に広がるか否かを判断するために、マジックペンでマーキングしているのです。おそらく全国的に広く行われている行為だと思います。


最近まで当たり前の行為としてスルーしていたのですが、蜂窩織炎の治療効果判定法で何か良いアイデアが無いかと考えていた時に、その存在に気付いたのです。


つまり、看護師さんの出血判定法のパクリなんですね。私のオリジナルアイデアではないことが良く分かると思います。


ちなみに前回ブログでは分かりやすいように点線で記しましたが、実際には線でマーキングした方が消えにくいので実用的です。興味のある方は試してみてくださいね。






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蜂窩織炎のカンタン治療効果判定法

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外来をしていると蜂窩織炎の患者さんを治療することがあります。しかし、自分の外来出番の関係で、適切な日に受診してもらうのは難しいのが実情です。


例えば本来なら3日後に再診して創の確認をしたいところなのに、次回は1週間後にしか直接診察できない等はザラにあります。このような時には他の外来医師の受診を促します。


しかし、カルテ記載だけでは蜂窩織炎が軽快しているのか否かは判断できないです。当初は発赤範囲を計測してカルテ記載していましたが、再現性に難があり実用的ではありません。



66 - コピー




そこで最近実践しているのは上記のような方法です。蜂窩織炎の辺縁を油性マジックでマーキングしています。これだと蜂窩織炎の範囲が縮小しているのかが一目で判断できます。


カルテにごちゃごちゃ記載する必要もありません。油性なので入浴しても数日程度なら問題なく残っています。こうすることで現在の治療で問題無いのか否かの判断を行います。


副次的なメリットとして、患者さんご本人にも治療効果が一目瞭然であることが挙げられます。蜂窩織炎の患者さんを見かけたら実践することをお勧めします。






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