整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

感染

尿混濁時の膀胱洗浄の是非

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、入院中の受け持ち患者さんの尿道カテーテルが閉塞しました。尿道カテーテルを入れ替えたのですが、カテーテル内には結構な量のデブリスがあります。


看護師から膀胱洗浄の是非について質問がありました。研修医の頃は膀胱洗浄をしていたこともありますが、最近では自分で膀胱洗浄をすることは無くなりました。


あまり意識することが無かったのですが、膀胱洗浄を施行することで細菌を尿管や腎臓に押しやってしまい、感染リスクが上昇するということを聞いたことがあります。


このため、膀胱洗浄の是非について少し自信を持てなくなりました。そこで恥ずかしながら、泌尿器科専門医に膀胱洗浄についてお伺いしてみました。


泌尿器科の先生がおっしゃられるには、膀胱内にデブリスが充満している時に施行する膀胱洗浄は悪いことではないようです。


もちろん洗浄圧があまりにも高くて膀胱内圧が上昇すると、尿管や腎臓に尿が逆流してしまい腎盂腎炎等の尿路感染症を併発することがあります。


しかし極端に膀胱洗浄時の圧が高くならないようにさえ注意しておけば、膀胱洗浄自体は膀胱炎の鎮静化にある程度の効果があるようです。う~ん、勉強になりました。







★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



輸血後感染症検査は過剰医療?

このエントリーをはてなブックマークに追加


近年、輸血後感染症の検査実施を半強制している医療機関が多いです。事の発端は厚労省からのこちらの通知です。




輸血後肝炎

本症は早ければ輸血後 2~3 ヶ月以内に、肝炎の臨床症状あるいは肝機能の異常 所見を把握できなくとも、肝炎ウイルスに感染していることが診断される場合があ る。特に供血者がウインドウ期にあることによる感染が問題となる。このような感染の有無を見るとともに、早期治療を図るため、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、別表のとおり、肝炎ウイルス関連検査等を行なう必要がある。


ヒト免疫不全ウイルス感染(HIV)

後天性免疫不全症候群(エイズ)の起因ウイルス(HIV)感染では、感染後 2~8 週で、一部の感染者では抗体の出現に先んじて一過性の感冒様症状があらわれることがあるが、多くは無症状に経過して、以後年余にわたり無症候性に経過する。 特に供血者がウインドウ期にある場合の感染が問題となる。受血者(患者)の感染 の有無を確認するために、医師が感染リスクを考慮し、感染が疑われる場合などには、輸血前にHIV抗体検査を行い、その結果が陰性の場合であれば、輸血後 2~3 ヵ月後に抗体検査を行なう必要がある。




上記の赤字部分を過剰に解釈(?)しているのか、輸血した患者さんは原則的に全例輸血後感染症の検査をすることになっている医療機関が多いです。


しかし、全例に輸血後感染症検査を実施する意味はあるのでしょうか?日本輸血・細胞治療学会は、輸血後感染症検査の現状とあり方に関する提言を公式サイトに掲載しています。


学会によると、推定輸血感染発生数はHBVで年間3件程度、HCVとHIVは輸血感染例の発生がなくなったため推定困難になっているそうです。


このような現状にもかかわらず、輸血した患者さん全てに輸血後感染症検査の実施を促している現状は、過剰医療の誹りを待逃れないのではないかと個人的には感じています。


公的に検査を半強制されている現状ではイチャモンを付けられる可能性があるのでやむを得ず実施していますが、医療的意味を鑑みると是正されて然るべきではないかと思います。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


    



体温の日内変動

このエントリーをはてなブックマークに追加

高齢者の熱発は要注意です。免疫力の低下した高齢者が熱発することは、ただならぬ事態が進行している可能性があるからです。


しかし、入院患者さんで夜間のみ熱発するパターンはどう考えるべきなのでしょうか? 一般的に、弛張熱(日差が1℃以上で最低体温が37度以上)では何らかの感染を疑います。


この場合、最低体温が37度以上がミソなのですが、一般的には昼間の体温を無視して、夜間に37度台後半以上の熱発があると弛張熱と言いがちです。


このような昼間は平熱で夜間のみ発熱するパターンを「弛張熱」と判断するのは間違いの元かもしれません。何故なら、体温は下のグラフのように変化するからです。



グラフ:健康な人の1日の体温リズム



上記は、テルモのサイトから引用したグラフです。就寝するまでは比較的高温の時間が続きます。このグラフをみると、体温測定の時間が準夜帯の場合は高温になりがちです。


翌日の熱型表をみると夜間に熱発したように見えますが、測定時間が21~22時などでは正常範囲の方でも弛張熱と判断してしまうリスクがありそうです。


特に普段は午前もしくは午後の 1検だったものが、何かの拍子に 1日 3検体制になると、ことさら夜間の高温が強調されてしまう可能性があります。


もちろん、多くの場合は本当に熱発しているのですが、ときどき実は正常範囲内の体温日内変動だったというオチもありそうなので注意が必要だと感じました。







★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



緊急! セファゾリンの代替薬リスト

このエントリーをはてなブックマークに追加

ご存知の方も多いと思いますが、第一世代セフェム系抗生物質のセファゾリンが供給停止に陥っています。セファゾリンは、MSSA の第一選択なので厳しい状況です。


製造元の日医工の発表によると、2018年の年末からセファゾリンの原薬がスムーズに納品されなくなり始め、2019年 1月には 3/4に異物が混入する事態に陥りました。


2019年 2月には製造した全てのセファゾリンに異物が混入するという異常事態になったため、供給停止を決めたようです。日医工は全国シェアの 6割だったので大変な状況です。


医療の現場からセファゾリンが消えるとなると、その影響は甚大です。特に外科系の科は大打撃を受けます。セファゾリン無しではまともに手術ができません...。


厚労省も事の重大さを認識しているようで、2019年 3月 29日付けで下記の「事務連絡」をホームページで公表しました。




厚労省の迅速な対応は、現場にとって非常に助かります。これをみると、整形外科領域のセファゾリンの代替薬としては下記が挙げられています。


  1.  セフォチアム(パンスポリン:第 2世代セフェム系)
  2.  セフメタゾール(セフメタゾン:第 2世代セフェム系)
  3.  フロモキセフ(フルマリン:第 2世代セフェム系)
  4.  クリンダマイシン(マクロライド系)
  5.  バンコマイシン


実際的には、①~③の選択となりそうです。個人的には術後の予防投与では、PIPCなどでしのぐことを検討しています。早く供給再開して欲しいところですね。






★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



THAも関節注射後3ヵ月は待機しよう!

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日ご紹介したのは、術後感染率が有意に上昇するので TKA の術前3ヶ月以内に関節注射を施行するべきではないという論文でした。


それでは THA に関してはどのような状況なのでしょうか? 実は、人工股関節全置換術(THA )にも似たような研究があります。


またまた出身大学の講師の先生に教えていただたのですが、下記のような2つの論文があります。




The Timing of Total Hip Arthroplasty After Intraarticular Hip InjectionAffects Postoperative Infection Risk



Preoperative Hip Injections Increase the Rate of PeriprostheticInfection After Total Hip Arthroplasty




いずれも TKA と同様に、術前 3ヶ月以内の関節注射は有意に術後感染率を高めるという結果です。THA においても、術前3ヶ月以内の関節注射は避けるべきのようです。


股関節に関しては、日本ではヒアルロン酸の関節注射が
保険適用ではないため、膝関節のように定期的に関節注射をすることはないです。


しかし腰椎由来の痛みとの鑑別のためにキシロカインテストをすることはあります。もちろん、キシロカインテストも関節注射です。


このため、キシロカインテスト陽性だったので手術をしましょう! ではなく、手術はキシロカインテストを施行してから3ヵ月以上待機することが望ましいでしょう。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。