整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

感染

陰圧でHAに抗生剤を含浸させる方法

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先日、感染人工股関節でのリストリクターの記事をアップしましたが、今日はその続編です。何気に感染症系の資料を整理しているとかなり昔の資料を見つけました。


PENTAXのアパセラムの販促資料なのですが「簡便な抗生剤の含浸法と徐放システム
」という内容でした。


アパセラムブロックに抗生剤を含浸してセメントビーズのように使用するという趣旨です。抗生剤は熱に弱いものが多く、セメントピーズでは十分に活性を得ることができません。


セメントの代わりにハイドロキシアパタイトを用いると、熱に弱い抗生剤でも活性を保ったまま徐放できるという画期的なアイデアです。パンフレットの画像を下記に添付します。



222 - コピー



ハイドロキシアパタイトに抗生剤を含浸させる具体的な方法は下記のごとくです。


  1. シリンジと三方活栓を組み合わせる(上図)
  2. シリンジにハイドロキシアパタイトと抗菌薬溶液を入れる
  3. 陰圧をかけるとハイドロキシアパタイトから気泡が出て薬剤が気孔に含浸される


う~ん、なるほどなかなかウマい方法ですね! セファゾリン1gは5㏄ぐらいの生食に溶けるみたいなので、一度試してみたいと思います。







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感染人工股関節でのリストリクター

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感染した人工股関節や人工骨頭を最置換する際は、普段セメントレスステムを使用している医師であってもセメントステムを選択することが多いと思います。


セメントステムを使用する際にはセメントリストリクターを使用しますが、感染症例では市販のセメントリストリクターを使用するのは何となく気持ち悪いものです。


そこで何か良い方法はないかと思って、経験豊富な何名かの医師に質問してみました。その中で出た案は下記のごとくです。


  1.  2セメント(抗生剤含有)
  2.  同種骨+抗生剤
  3.  人工骨(β-TCP)+抗生剤



2セメントテクニック


まず抗生剤含有セメントをステム先端付近の髄腔内に充填する。硬化したのちに本番のセメントを充填してステムを挿入する。


ただ、
セメントがたれてしまってリストラクターとしての用をなさなかったり、近位までセメントが入ってステムが入らなくなるトラブルが発生しやすいとのことです。



同種骨+抗生剤


某旧帝国大学では、チップにした同種骨をガーゼで茶巾様に包んで、生食500ml+セファゾリン 2g に1時間浸しておくそうです。


こうすると同種骨に抗生剤が浸軟して徐放効果も期待でき、確実なリストラトも得られるとのことです。なるほどですね!



人工骨(β-TCP)+抗生剤


こちらは上記(同種骨+抗生剤)の亜型です。同種骨を利用できるのは大学や大規模基幹病院であり、普通の市中病院ではなかなか難しいのが現状です。


市中病院では同種骨の代わりに人工骨を使えばよいと思います。気孔率の高い β-TCP を選択します。気孔率が低いと、髄内でうまく砕けないので注意が必要です。








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70%のインプラントで細菌を検出?!

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ちょっと怖すぎる記事を見かけました。
細菌・真菌が体内インプラントで増殖 です。




 インプラントは現代医学において重要な器具の1つであり、新たな技術開発によってインプラント手術は増加している。デンマーク・University of CopenhagenのTim H. Jakobsen氏らは、臨床的に感染症の症状がない患者を対象に手術に関連して埋め込まれたインプラントの状態を検査した結果、70%を超えるインプラントで細菌や真菌が検出されたとAPMIS(2018年7月2日オンライン版)に発表した。その一方で、感染症の直接的な原因となる病原体は見つからなかったという。




陽性率は細菌66%、真菌40%、いずれかまたは両方で73%


デンマークでは、多くの人が股関節や膝関節の置換術を受けたり、骨折した骨をスクリューで固定したりしているが、これらで使用されるインプラントは常に無菌状態であると考えられていた。


 Jakobsen氏らは、2013年2月〜17年4月に同国首都圏の5つの病院において、臨床的に感染症がないインプラント使用患者で①無菌性の弛み②頭蓋顔面インプラントの合併症③骨折の治癒④最近死亡した−に該当する4つの患者群から、スクリューや膝関節、ペースメーカーなど106個のインプラントと周辺組織を採取し、検査した。採取されたインプラントは、患者の体内に埋め込まれてから平均で13カ月経過していた。   

 その結果、対象者には感染症の徴候は認められないものの、インプラントでは70個(66%)が細菌、43個(40%)が真菌で陽性、さらに細菌、真菌のいずれかまたは両方では78個(73%)が陽性であった。




特にスクリューで細菌が繁殖


 今回の検討では、他のインプラントと比べて、特にスクリューで細菌がコロニーを形成していることが分かった。スクリューは皮膚の近くに局在し、インプラントと骨の両方に直接接触していることが多いため、細菌にコロニー形成の機会を提供していると考えられた。真菌の陽性率はさまざまなタイプのインプラントで同等だった。ブドウ球菌のような病原体は発見されなかった。


 さらに、対照群として39個の滅菌インプラントを用いた。インプラントを採取する過程またはその後の分析においてインプラントが汚染された可能性を確かめるため、滅菌インプラントを手術中、または患者に埋め込んだ後、直ちに取り外して検査した。その結果、細菌や真菌は発見されなかった。このことから、インプラントが体内に埋め込まれた後、細菌や真菌の定着が始まることが示唆された。




細菌、真菌が身体に及ぼす影響を調べることが必要


 今回の研究では、無菌状態と思われていたインプラントに細菌が繁殖していることが明らかになった。その一方で、感染症の原因となる直接的な病原体も見つからなかった点について、Jakobsen氏らは「それらが存在していたならば、感染症も発見されただろう」と指摘している。


 同氏らによると、一般的に体内に異物が埋め込まれている状態では、細菌の発生や新たな生育環境が生まれる可能性は増加するという。同氏は「今回特定された細菌や真菌は、患者に悪影響を与えることなく、非常に長期間体内にとどまっていると考えられた。次のステップでは、それらが身体とインプラントに及ぼす影響を正確に調べることが必要である」と述べている。





人工関節置換術を生業としている身の私にとって、この記事は衝撃的でした。。。細菌、真菌のいずれかまたは両方が陽性である確率が73%って、怖すぎませんか???


ただし、細菌や真菌のコロニーがある=感染というわけでもないことも驚きです。不顕性の感染(?)なのでしょうか・・・


n が小さいし、歯科領域のインプラント症例が混じっているので、整形外科の人工関節にそのまま当てはまるわけではありません。しかし、今までは無かった示唆がありそうです。


もし本当にインプラントの7割に細菌もしくは真菌のコロニーが存在するのであれば、何が要因となって感染は発症するのでしょうか?






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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




肺炎後には生物学的製剤でフォロー

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先日、関節リウマチで生物学的製剤を投与中の患者さんが肺炎を併発しました。易感染性の基礎疾患をもっている患者さんなので、肺炎の再燃を繰り返しています。


前回は入院する必要があるほどの肺炎だったので、生物学的製剤を一旦中止しました。中止期間は約2ヵ月なのですが、この間に関節リウマチの症状が再燃してしまいました。


2ヵ月なので当たり前と言えば当たり前なのですが、肺炎がなかなか軽快しないため、ずるずると生物学的製剤投与再開を引き延ばしていたのです。


こちらでもご紹介したように、肺炎を併発した関節リウマチ患者さんの治療には細心の注意が必要です。基本的には、免疫調整薬はセーフですが、免疫抑制薬はアウトです。


MTXをはじめとする免疫抑制薬は、1度でも重症肺炎を併発した患者さんには使いづらいです。このため、臨床所見をニラミながら生物学的製剤再開の時期を図ります。


肌感覚で言うと、重症肺炎等の併発リスクは、MTXなどの免疫抑制薬よりも生物学的製剤の方が低い印象です。


このため、かなりドキドキしながらではありますが、肺炎後の患者さんにはMTX投与は控えつつも、生物学的製剤を再開して関節リウマチのコントロールを行っています。






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感染対策マニュアル作成を強要?!

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Medical Tribuneに興味深い記事ありました。
MR各位、院内感染対策に協力を!病院は「営業の場」? いいえ、「癒やしの場」です!



 

 院内感染対策の一環として病院の清掃・環境整備を徹底しても、病院に出入りする製薬企業の医薬情報担当者(MR)などの外部業者がその努力を台無しにしている可能性がある。京都第二赤十字病院感染制御部部長の下間(しもつま)正隆氏は、同院で目にする、感染対策を顧みないMRの問題行動を第92回日本感染症学会/第66回日本化学療法学会(5月31日〜6月2日)で報告。病院は免疫力の低下した患者の療養の場であり、病院職員、外部業者にかかわらず、おのおのの感染対策マニュアルを遵守して行動することが重要だと訴えた。


~ 中略 ~


「優れた医薬品を開発・供給することで人々の福祉と医療の向上に貢献することを使命とする製薬企業こそ感染対策教育を徹底し、自社マニュアルを作成・遵守すべきと考えるが、実行されていないのが現状である」と同氏は指摘した上で、病院内でMRが守るべき事項として表に示す5つを挙げた。


病院内でMRが守るべき5箇条

  • 外部業者が守るべきその病院のルールを遵守するべし!
  • 自宅のリビングのソファの上に置く自信のある清潔な物以外は、患者用ソファに置くべからず!
  • 咳エチケットやインフルエンザ流行期などの院内マスク着用ルールなど、正しく理解した上で適切にマスクを着用するべし!
  • 患者に迷惑のかからないよう、決められた場所から出入りするべし!
  • 靴音のする革靴やハイヒールで、患者の癒やしの場である病院内を歩くべからず! 

以上をまとめて 「病院は患者の癒やしの場である。営業の場ではない!」 と心得るべし! 





一読して、ちょっとMRさんを敵視し過ぎなのでは? と感じました。たしかに、こちらが忙しい時に声掛けするのは勘弁してほしいと思うことはよくあります。


しかし、感染とは関係ないMRさんの革靴やハイヒールまで5箇条に含めているのには苦笑してしまいました。


ここで述べられていることに関しては、MRさんよりも「輩系の」患者さんやその家族の方が、100倍ぐらいよく見かけます。


たしかに、皆が感染対策を真剣に考えることは重要です。しかし、すべての出入り業者に対して、自社で感染対策マニュアルを作成することを強要するのは少しやり過ぎでは???






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